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共同通信の全国自治体アンケートで、景況感が昨年末と比べて「上向いている」とした市区町村は17%にとどまり、76%は「変わらない」とみていることが十七日分かった。調査は六〜八月に実施した。日本経済は緩やかな回復を続けているが、地方にはその実感が行き渡っていない。人口流出による働き手不足も目立った。都道府県では半数を超える二十六府県が「上向き」と答えており、より地域に密着している市区町村の景況感とは開きがある。

市区町村の「上向き」は昨年十一月〜今年一月に調査した前回の15%から微増。「変わらない」が66%から増加し、「下降」が4%(前回13%)に減った。全体の景況感はやや改善した。

好調な地域は観光客が増えたケースが多かった。宮城県蔵王町は「インバウンドの取り組みで外国人が増加しつつある」、黒部ダム観光の玄関口となる長野県大町市も「平年に比べ市街地で人が歩いている」とした。

景況感に変化のない自治体では、大阪府高槻市が「景気回復の波及効果が浸透していない」、茨城県牛久市が「地方では改善の兆しが見えるとは言えない」と答えた。

 「下降」では、長崎県南島原市が「求職と求人のミスマッチによる人手不足が深刻」、兵庫県上郡町も「人口減少と商工業の低迷が著しい」などの理由を挙げた。

ふるさと納税の返礼品が経済を活性化しているとの声もあり、北海道上士幌町は「関連する企業の求人が増え、人口も増加」と回答。兵庫県市川町や高知県四万十町でも返礼品の出荷が地域経済に貢献しているという。

地域別では「上向き」の市町村が半数を超えた沖縄の好調さが突出し、九州、北陸がそれに次ぐ水準だった。

都道府県の「上向き」は前回の十六から増加。「下降」はゼロ(前回一)、「変わらない」は二十(同二十九)だった。雇用改善などを理由に「上向き」とした二十六府県でも、市町村レベルでは個人消費の弱さや中小企業の苦しさを訴える声が多かった。

調査は全国千七百八十八自治体(都道府県、市町村、東京二十三区)が対象。豪雨災害があった福岡を除く四十六都道府県と、市区町村全体の91%に当たる千五百八十九団体が応じた。
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