【ワシントン=河浪武史】米商務省が28日発表した4〜6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で2.6%増だった。
伸び率は1〜3月期の1.2%(改定値)から加速。雇用者数の増加によって個人消費が拡大し、新興国経済の回復で輸出も伸びた。世界経済のけん引役である米国は内外需とも底堅い成長が続き、景気拡大局面は9年目に突入した。

雇用増加で個人消費が拡大し、新興国経済回復で輸出も伸びた=ロイター
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雇用増加で個人消費が拡大し、新興国経済回復で輸出も伸びた=ロイター
成長率は市場予測(2.6%程度)とほぼ一致し、3四半期ぶりの高い伸び率となった。経済の巡航速度である潜在成長率(2.0%前後)も3四半期ぶりに上回った。
けん引したのはGDPの7割を占める個人消費だ。前期比年率2.8%増となり、前期(1.9%増)から伸び率が拡大した。雇用の改善が続き、衣料品などの非耐久財やヘルスケアなどのサービス消費は底堅い伸びが続いた。ただ、自動車・関連部品は2四半期連続のマイナスとなり、不安材料となった。

設備投資も5.2%増と高い伸びだった。資源価格の低迷などで企業の投資は一時鈍化したが、足元では5四半期連続のプラスと持ち直し、再び景気のけん引役となりつつある。住宅投資は6.8%減と3四半期ぶりのマイナスだったが、高い伸び率だった1〜3月期(11.1%増)の反動減とみられる。
輸出は4.1%増となり、2四半期連続で増加した。中国など新興国経済の景気拡大で外需は底堅い。とりわけ金融やIT(情報技術)などのサービス輸出は6.5%増え、約4年ぶりの高い伸びとなった。
米連邦準備理事会(FRB)は今秋にも量的緩和で膨らんだ保有資産の圧縮に着手する方針で、金融引き締めは利上げに続く新段階に入る。物価の停滞が不安材料となっていたが、底堅い米景気の拡大が金融引き締め論を後押ししそうだ。


http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H4S_Y7A720C1000000/?dg=1&;nf=1