無料通信アプリ大手の「LINE」はインターネットを通じて出前を受け付けるサービスに本格的に参入し、大手牛丼チェーン「吉野家」の弁当を新聞の配達員などに委託して宅配するサービスを始めました。
発表によりますと、LINEは26日から全国1万4000の飲食店の出前を受け付け、商品を宅配するサービスを始めました。

このうち、東京と千葉、神奈川、それに福岡の一部の地域では「吉野家」の弁当を宅配します。
利用者はLINEのアプリで商品を注文すると、LINEのグループ会社が提携先の会社に弁当を宅配してもらう仕組みです。

配送を請け負う会社の中には、若者の「新聞離れ」で経営環境が厳しくなっている新聞配達店も含まれています。
自前で宅配の機能を持たない店への注文をインターネットを通じて一括し、物流機能を持つ複数の企業などに割りふって配達してもらうサービスは「シェアリングデリバリー」と呼ばれています。

宅配の分野で人手不足が深刻化する中、導入が広がっていて、大手ハンバーガーチェーンの「日本マクドナルド」はスマートフォンによる配車サービスを手がけるアメリカの「ウーバー」と提携して、ハンバーガーの宅配を始めています。

会見で、LINEの出澤剛社長は「非常に広い範囲を対象にLINEのユーザー数をあわせるので非常に強いサービスを提供できる」と述べました。
シェアリングデリバリーとは
シェアリングデリバリーはインターネットの出前サイトで、自前の宅配機能を持たないさまざまな店の注文を一手に請け負い、物流機能を持つ会社などに配送を委託するサービスです。

新聞配達や出前などが空いている時間を利用するケースや、一般の人が自転車などで配達を行うケースもあります。
日本ではスマートフォンを使った配車サービスを手がけるアメリカの「ウーバー」が去年からこの事業に乗り出しました。

利用者が専用のアプリで飲食店の料理を注文すると、配達員として登録している一般の人が法律上の届け出が必要ない自転車や、125cc以下のスクーターで商品を配送します。
先月には、ハンバーガーチェーンの「日本マクドナルド」や回転寿司チェーンの「スシロー」もウーバーのサービスを使って商品の宅配を始めています。
再参入の経緯と展望
LINEは、利用者の多さを別の事業にも生かそうと、3年前、出前の注文をアプリで受け付けるサービスを始めました。
この時は、東京都内の一部の地域で高級レストランの弁当を宅配し、一定の利用はあったということですが、みずから配送を行っていたため、人手の確保が難しくなるなどの課題に直面し、およそ1年でサービスを終了しました。

そこで、配送はほかの事業者に任せ、みずからは注文を仲介する形を選びました。そして、大手のチェーンを含む1万店を超える規模の飲食店と配送を委託する事業者の11の拠点を結びつける形を整え、本格的にシェアリングデリバリーの分野に参入しました。今後は、配送を委託する事業者を増やして、配送の拠点を200か所以上まで増やすことを目指すとしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170726/k10011075251000.html