大学入試センターは13日、現行のセンター試験に代えて2020年度に導入する「大学入学共通テスト」のマークシート式問題のモデル例を公表した。国語と数学の各2問で、国語では識者による短歌の論評と生徒の会話文を組み合わせて出題するなど、これまでにない新しい内容。5月に問題例を公表した記述式と合わせて「知識だけでなく思考力・判断力・表現力を重視した」としている。

文部科学省は同日、英語での民間検定試験の活用、国語、数学への記述式問題の導入などを柱にした共通テストの実施方針を正式決定した。試行のための「プレテスト」を今後実施し、その結果を踏まえて19年度に実施体制なども含めたテストの大綱を策定する。

 国語と数学では記述式問題の導入と合わせて、既存のマーク式(多肢選択式)の問題も一部を刷新。より思考力や判断力を問う内容にする。

 13日示されたマーク式の例題は大学入試センターが作成し、2〜3月に行ったモニター調査で出題した。国語の現代文と古文から各1問、数学1・Aから2問の計4問を公表した。

 現代文は関連する3つの文章を読ませる。まず複数の短歌について論評する文章を2つ示し、語彙力や筆者の主張の理解を試す問題を設けた。

 続いて論評を参考に生徒3人が会話する文章を示し、発言の空欄を埋める問題を出した。「複数のテキストの妥当性を吟味し、情報を統合・構造化できる力」を試すという。

 古文は「平家物語」の文章に続けて、それを読んだ2人の人物の対談を示した。対談は文章の印象を語り合う中で、文章に含まれた表現技法に気づく内容。問題は古文の理解や文法を問うものに加え、対談の構成の特徴を選ばせるものも設けた。対談を入れることで「相手の立場や考えを尊重して話す工夫」の理解力を試している。

 数学では、都道府県ごとの平均睡眠時間のデータを分析させる。会話の中で睡眠時間を平均気温や通勤・通学時間と関連づけたグラフを示し、ある結論を導くために必要なデータを問うたり、グラフから読み取れることを選ばせたりする。身近なテーマで数学を活用する場面を設定し、データを正しく考察する力を試す。

 別の図形問題では、ICT(情報通信技術)の活用を想定し、生徒がコンピューターを使って図形の性質を調べる場面を設定した。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG13H1A_T10C17A7000000/