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建設工業新聞 [2017年7月11日3面]

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?チキソリデュースのこわばり低減効果
 清水建設は10日、混和剤メーカーのフローリック(東京都豊島区、尾崎恵三社長)と共同で、コンクリートのこわばりを低減する混和剤を開発したと発表した。練り混ぜ直後のコンクリートに添加することで、静置時もコンクリートの流動性を保持する。圧送再開時の配管閉塞(へいそく)などの不具合を未然に防止するなどコンクリートの施工性向上が期待できる。
 コンクリートには、外力を加えると流動性を保ち、静置するとこわばりが生じて流動性が損なわれる「チキソトロピー」という性質がある。コンクリート施工現場では、ポンプによる圧送作業の中断や場所打ち杭コンクリート施工での配管切り替え時など、一定時間コンクリートが静置状態になる状況があり、品質状の不具合や作業効率の低下につながることがある。
 開発した「チキソリデュース」は、特殊ポリマーを配合した粉末状の混和剤で、水溶性の紙袋に梱包(こんぽう)した状態で使う。コンクリート1立方メートル当たり1袋(250グラム)をトラックアジテーターやコンクリト工場のミキサーに投入し、攪拌(かくはん)・分散。均一に分散した特殊ポリマーがセメント粒子間に入り込み、静置時のこわばりの原因となるセメント粒子の凝集や沈降を抑えることで、こわばり低減効果を発揮する。
 効果検証実験では、練り混ぜ直後にチキソリデュースを添加したコンクリートを1時間静置した後も、静置前の流動性が保持されていることを確認した。
 今後は都市部地下工事の大深度化などで需要増大が見込まれる長距離圧送や、場所打ち杭・逆打ち部のコンクリート施工を中心に、同社の施工現場で積極的に適用するほか、外販も計画している。