http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/053000129/060800014/

宇野 麻由子 2017/06/08 18:15 1/1ページ
 イビデンは、配線/配線間隔が30μm/30μmといった微細配線を可能にするMSAP技術を、携帯電話などのマザーボード(メイン基板)に対応した展示を「JPCA Show 2017」(2017年6月7〜8日、東京ビッグサイト)で行った。スマートフォン(スマホ)などの携帯機器のメイン基板の面積削減や薄型化を可能にする。同社は、2016年にマレーシアと北京に持つメイン基板工場へのMSAP技術導入を完了しており、2017年第1四半期から量産を開始しているという。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/053000129/060800014/0607_10_IMG_9232.JPG
イビデンのMSAPに関する展示。ロードマップは量産のボリュームゾーンを表記しているとのこと。

MSAPはModified Semi Additive Processの略で、めっきにより微細配線を形成するSAP法(Semi Additive Process)の一種。従来、メイン基板などで使われてきた、エッチングにより配線を形成するサブトラ法(Savtractive法)は、配線断面のすそが広がりやすく、配線/配線間隔は50μm/50μm程度までと、微細配線への適応は難しい。そこで、パッケージ基板やモジュール基板など小型高密度実装基板で採用されてきたSAP法を改良し、メイン基板に使おうという動きが広がりつつある。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/053000129/060800014/0607_12_IMG_9238.JPG
MSAPによる基板の展示。

http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/event/15/053000129/060800014/0607_11_IMG_9235.JPG
MSAPによる配線幅/配線間隔が20μm/20μmのテスト基板。

 この動きを牽引しているとうわさされるのが、今年発売される次期iPhoneだ。業界関係者によると、「有機ELディスプレイを導入して大画面化するため、結果的に電池の大容量化要求が出てきた。電池の場所を作るため、メイン基板面積のさらなる縮小で対応すると言われている」。イビデンの展示では用途や実用例についての表記はなかったが、説明員によると「携帯機器では電池容量を増やすためにメイン基板を半分にしたいという要望があり、MSAPならこうした要望に応えられる」という。

 イビデンの電子関連事業ではパッケージ基板やモジュール基板が主力。以前からSAP法を用いたパッケージ基板工場などを持っており、メイン基板工場でのMSAP技術導入は既存技術の横展開に当たるという。現在、最も微細化が進んでいる量産品は配線幅/配線間隔が30μm/30μm。2018年には25μm/25μmの量産を開始する見込み。