「仮想通貨、今買えば値上がり確実!」といった宣伝文句、ネット上で見かけたことはありませんか? 今、“新しい仮想通貨”への投資を勧誘されて購入したものの、取り引きできるようにならず返金も交換もできなくなるトラブルが相次いでいます。いったい何が起きているのか、取材しました。(報道局・岡田真理紗記者)
“新しい仮想通貨”をセミナーで購入
NHKが仮想通貨をめぐる投資のトラブルについて情報提供を呼びかけたところ、さまざまな情報が寄せられました。そのうちの1人、20代の男性に直接話を聞くことができました。もともと仮想通貨に関心のあった男性は、2年前、将来のために知っておきたいと“仮想通貨セミナー”に参加。セミナーでは講師から「仮想通貨は市場全体が成長している」といった一般的な説明がありましたが、終盤になって「今いちばん熱い、新しい仮想通貨」とのふれこみで、イギリスの会社が開発しているという仮想通貨の説明があり、「この場で申し込めば割引価格で買える」と購入を促されたということです。

「1年後に取引所に上場する。持っておくだけで2倍、3倍、4倍にもなる」という講師の話を信じた男性は、120万円分を購入。男性によると、若い女性や大学生などのセミナー参加者のほぼ全員が購入を申し込んだといいます。そして、「上場は2016年9月」と言われ、上場後の値上がりを期待して待っていました。しかし、上場予定日の当日になって、開発元から「上場を延期する」との連絡が来たのです。「システムにぜい弱性が見つかった」というのがその理由でした。
上場延期で取り引きできず
どういうことなのか? 一般に、仮想通貨が売買されるようになるには「取引所」に上場される必要があります。株式や為替と同じように取り引きによって市場価格が形成され値段が上下するのが特徴です。しかし、今回のように、取引所に上場されないと、「データ上」は仮想通貨を持っていることになっていても、取り引きやほかの通貨への交換ができず、利益を得ることはできなくなります。

上場延期の知らせに驚いた男性が開発元に問い合わせたところ、「2、3か月待ってほしい」との返事がありました。しかし、その期間を過ぎても連絡がなかったため、セミナーを主催した団体に連絡。すると、「自分たちが開発しているわけではないので、開発元に聞いてほしい」との返事が来ました。その後、開発元から「5月に上場する」という連絡が来たものの、示された日程を過ぎても上場されなかったということです。

「知識がなかったので、すでに値上がりしている『ビットコイン』を例に出されると、ほかの仮想通貨が出てきて値上がりしてもおかしくないと思ってしまった」、そう男性は振り返ります。そして、「『今買ったらお得』『値上がりが待っている』といったあおり文句は多かったが、損失の可能性や上場できなくなった場合のリスクの説明はなかった」と話しています。

男性が購入した仮想通貨とはいったいどんなものなのか?
詳しい内容は、きょう午後4時50分からの総合テレビ「ニュースシブ5時」でお伝えします。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170605/k10011007001000.html