http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ29I6I_Z20C17A5TI1000/

2017/5/29 20:35


 東京電力ホールディングス(HD)グループは2018年3月期に公募社債を計3300億円発行する。必要な有価証券届出書を29日、関東財務局に提出した。11年の東日本大震災以来中断していた社債発行を今年3月、6年半ぶりに再開した。今年度の発行予定額は前回分から3倍以上増え、本格再開となる。

 実際に発行するのは傘下の送配電会社、東京電力パワーグリッド(PG)。調達した資金は今期に予定される6259億円の東京電力債の償還などに充てるとみられる。

 第1弾として、6月にも5年債500億円と7年債200億円の計700億円を発行する。利率は6月中旬に決めるが、3月発行の5年債の場合、0.58%だった。

 東電は福島第1原子力発電所の事故を受けて多額の負債を抱える。金融機関からの借り入れ依存が強まっており、社債による資本市場からの資金調達を増やすことで、財務の安定性を高めたい考えだ。

 東電が申請していた新々・総合特別事業計画は18日に政府に認定され、福島第1原子力発電所の廃炉に関する費用確保への道筋がより明確になった。このためムーディーズ・ジャパンは東電の格付けを「Ba3」から「Ba2」に1段階引き上げた。実質的な政府管理下にある東電だが、格付けの改善は信用力向上として投資家の買い意欲につながりそうだ。