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“Stay Hungry, Stay Foolish.(貪欲であれ。愚直であれ)”というアップル共同創業者スティーブ・ジョブズの言葉を聞いたことがあるだろう。これは2005年のスタンフォード大学卒業式におけるスピーチの締めくくりに使われた有名な言葉で、「現状に満足するな。たとえ非常識と言われても自らが信じる道を進め」という意味だ。

寺尾氏の生き方は、まさしく“Stay Hungry, Stay Foolish.”を体現しているかのようだ。

 そんな寺尾氏が率いるバルミューダの製品は、The GreenFan(扇風機)、The Toaster(スチームトースター)、The Pot(電気ケトル)など、そのどれもが家電の常識を覆すこだわりの製品ばかりだ。

バルミューダの製品開発の目的は、単に優れた機能を提供するだけでなく、その機能を通じて、夢のような「体験」をしてもらうことにあるそうだ。

 iPodやiTunesといったアップルのイノベーションも、音楽の「体験」をがらりと変えるものだった。やはり、寺尾氏の発想や哲学は、ジョブズに通じているのだろう。

 例を挙げよう。本書で開発ストーリーが紹介されている次世代扇風機The GreenFanは、寺尾氏が「バルミューダが大きくなったら作りたい」と夢見ていた製品の一つ。世に出せば「絶対に売れるだろう」と確信していたものだ。

 扇風機が発明されたのは19世紀後半。構造もシンプルなので、もはや改良の余地など残っていないと思いがちだ。だが寺尾氏は、どの既存の扇風機も「涼しくない」と感じていた。人工的な風が強すぎて、長時間あたっていられない。だから暑さをしのげないというのだ。

 寺尾氏には、扇風機で作りたい風のイメージがあった。それは、小学校の夏休みに友だちと外で遊ぶときに吹いていたような、心地よい自然の風だ。扇風機に限らず、寺尾氏のものづくりには、「心地よさの体験」の共有へのこだわりがある。

 それほどの思いがあった次世代扇風機だが、量産のための設備投資がまかなえず、なかなか商品化に着手できなかった。起業したばかりのバルミューダの事業は、手作りの高額商品の、受注生産に近いかたちでの販売のみだったのだ。

 しかし、それら手作りの高額商品は、2009年頃にはリーマンショックのあおりを受け、まったく売れなくなった。商品が売れなければ会社は倒産する。「このまま何もしないで夢を失うのは絶対にいやだ」と、寺尾氏は一念発起。「夢の扇風機」の実現に最後の望みをかけることにした。

 寺尾氏はまず、自然の風と扇風機の風の違いを調べてみた。すると、扇風機の風は「渦を巻いている」ことがわかった。自然の風には、そんな渦はない。

 いろいろと調べていく中で寺尾氏は、以前、残暑が厳しい折に訪れた町工場で教えられたことを思い出した。そこでは職人たちが大きな扇風機を壁に向け、跳ね返った風にあたっていた。「こうすると、風が優しくなるんだよ」

 そこで、壁に扇風機を向けて跳ね返る風を調べた。わかったのは、壁に当たることで「渦」の成分がなくなるという事実だった。

 寺尾氏は異なる勢いの2つの風を衝突させれば、壁にぶつかるのと同じ効果が得られるのではないかと考えた。そして、内側に遅い風を、外側に速い風を送り出す羽根をそれぞれ配置した二重構造を考案したのだ。

 このアイディアにより、従来の製品では不可能だった自然で優しい風を送る扇風機がついに完成した。
以下ソース
http://diamond.jp/articles/-/129640

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