日本の半導体メーカーの衰退に歯止めがかからない。かつては世界の半導体売上高の半分を日本勢が占めたが、直近では1割強に落ち込んでいる。
上位10社で唯一残った東芝も記憶用半導体フラッシュメモリー事業の売却を計画。官民挙げての支援も浮上するが、毎年巨額の投資が必要で、
「日の丸半導体」の生き残りは容易ではない。
 大型コンピューター向け半導体を得意とした日本勢は1980年代に米国勢を抜き、一時はNEC、日立製作所、東芝が世界市場でトップ3を独占した。
半導体輸出の急増が日米貿易摩擦を招いたほどだった。
 だが、米調査会社ガートナーによると、昨年の世界シェア(速報値)は首位が米インテル、2位が韓国サムスン電子だった。以下、米クアルコム
、韓国SKハイニックスと米韓企業が続く。上位10社中、日本企業は8位の東芝だけだ。
 地域別では、日本のシェアは88年の51.0%をピークに低落し、昨年は11.3%。日本勢は、コンピューターの小型化や半導体の需要多様化の波に対応できず、
さらに業界再編の遅れで競争力が低下。韓国勢などとの提携が技術流出を招き、逆転を許した。
 東芝も、スマートフォンなどの記憶装置として需要が伸びているNAND型フラッシュメモリーでは世界2位だが、1位のサムスンとの差は拡大するばかり。
追い打ちをかけるように、原子力事業の巨額損失を穴埋めするため、フラッシュメモリー事業を手放すことになった。
 東芝の事業売却の入札では、韓国や台湾のメーカーも名乗りを上げている。これに対し、政府系の産業革新機構や日本政策投資銀行などが連合で応札を目指しており、
半導体技術の維持を狙う。
 だが「世界の半導体市場で競争力を保つためには、東芝本体の損失穴埋めにとどまらず、巨額の設備投資が必要」(政府関係者)だ。
年間3000億円もの投資が必要とされるフラッシュメモリー事業の資金を捻出できなければ、日本勢の退潮は止まらない。(2017/05/03-15:26)


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