資源の枯渇が懸念されている太平洋クロマグロについて、国際合意で決められた30キロ未満の小型魚の漁獲量が、月内にも上限を超えることが16日、分かった。超過分だけ次年度の漁獲枠が差し引かれる。国内の沿岸部で違法操業などが相次いで発覚していることもあり、規制を求める海外からは、日本の資源管理の姿勢に批判が集まることになりそうだ。

 太平洋クロマグロの資源量を回復させるため、国際機関の中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は2015年、30キロ未満の小型魚の漁獲量を02〜04年平均の半分にする規制を導入した。日本の上限は4007トンとなっている。

 漁業者が多い沿岸漁業は7月〜翌年6月までを1年の単位としており、規制期間はあと2カ月以上残る。4月14日時点で漁獲量は3994トンに達したが、水産庁は漁業者に禁漁を強制できないうえ、ほかの魚と一緒に混獲されることもあるため、上限超えは避けられない状況になっている。

 水産庁は4月中に、クロマグロにも総漁獲可能量(TAC)制度を適用する政令改正を行い、罰則を強化する。18年以降は上限を超えて漁を続けた漁業者に3年以下の懲役、200万円以下の罰金を科す。

 太平洋クロマグロをめぐって、昨年、三重県で割り当て量を超えて漁獲される違反があったほか、各地で、許可のない漁業者による違法操業や漁獲量の申告漏れなど、不正が相次いだ。

 年末のWCPFC総会に向け、課題を整理する小委員会が8月に開催される。水産庁幹部は「間違いなく、日本の責任が論点になる」と警戒感をあらわにする。太平洋クロマグロの漁獲量、消費量ともに最大の日本には、世界から資源管理の責任を問う声が集中することは必至だ。(高木克聡)

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