0001みつを ★
2017/04/05(水) 07:30:58.82ID:CAP_USER[アテネ 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ギリシャの債権団は先週、年金改革を巡る議論が長時間にわたって紛糾したにもかかわらず、第3次金融支援に基づく今回の支払い実行を近く承認する公算が大きい。だがこれはギリシャ政府にとって来年半ばまでの時間稼ぎにすぎない。その後同国は、第4次となる新たな支援の枠組みが恐らく必要になるだろう。
チプラス首相は、7月に期限を迎える約75億ユーロを返済するため、ユーロ圏の債権団から十分な資金を得ることが不可欠だ。ギリシャとして、第3次支援が順調に進んでいると合意しないとそうした資金を確保できない。ところがチプラス氏には、困難な仕事に立ち向かうよりも交渉を引き延ばす性癖があり、これが既に経済に打撃を与えている。ギリシャは昨年第4・四半期にマイナス成長に陥り、今年第1・四半期もプラスに浮上できそうにない。
チプラス氏は、最終的には厳しい改革策を受け入れるように見える。たとえ人気のない年金の削減や2019、20両年の増税を含んでいてもだ。これらの措置によって、国内総生産(GDP)の2%相当の財政資金を節約できる。もっとも緊縮の度合いは今後和らげられるだろう。もしギリシャの財政運営が昨年同様、目標よりも良い成績で推移し続ければ、法人減税などによって改革がもたらす逆風を緩和することは可能になる。
ただしユーロ圏がギリシャを窮地に追い込んでいる。チプラス氏は7月の債務返済に十分な資金を得るはずだが、ユーロ圏の債権団の条件を受け入れないと、国内のサプライヤーに対する支払いの滞納を余儀なくされ、国内経済に痛手となる。こうした苦痛が長引けば、民間セクターの積極的な活動意欲がさらに損なわれてしまう。
チプラス氏にとって致命的とみなされるのは、今後銀行に起こるかもしれない事態だ。今年になって再び預金の流出が続いている。これは単に金融環境がまた引き締まるというだけでなく、経済が新たな下降局面に突入した場合は銀行に改めて資本注入が必要になるということだ。昨年導入された厳しいユーロ圏の銀行ルールに基づけば、預金者が損失負担を迫られるかもしれない。チプラス氏は2015年、瀬戸際交渉戦術で経済を混乱させ、資本規制を採用するという失策をおかしたが、もう一度試そうとすれば愚の骨頂となる。
次に債務軽減の問題がある。ドイツがギリシャ支援へ関与すべきだと主張している国際通貨基金(IMF)は、ユーロ圏の債権団がギリシャの負担を緩和することを望んでいる。そこでドイツのメルケル首相と、IMFのラガルド専務理事は、ギリシャ支援の輪にIMFをとどめながら、総選挙を9月に控えたドイツで有権者によるメルケル氏批判を招かないような形の債務軽減に関する言い回しを一致して生み出さなければならない。
こうした新たな言い回しは恐らく5月に案出され、欧州中央銀行(ECB)にギリシャ国債を資産買い入れ対象に組み込ませるだけの説得力を与えてくれるはずだ。そうなれば先行きへの期待が高まる。ギリシャが具体的な債務減免を受けられるのは来年からになるだろうが、チプラス氏の交渉力が弱まっている現状からすれば、その点について影響力はあまり行使できない。
ギリシャへの第3次支援の期限は来年半ばで、その後同国は自力で市場から資金を調達できるのだろうか。当然ほとんど現実味はなく、少なくとも何らかの助けなしでは立ち行かない。つまり第4次支援が想定される。
最低限としてギリシャはユーロ圏から予防的な借り入れ枠を設定してもらう必要がある。第3次の総額860億ユーロほどでないにせよ、いくらかの「実弾」も不可欠かもしれない。それでも今後の金融支援は、新規融資ではなく主に債務減免の形式になりそうだ。2022年以降に訪れる利払い額が膨らむ局面への対応が優先項目になるだろう。
ドイツなどの債権者は、こうした支援を厳しい条件なしに行うことはあり得ない。意のままにならないロバに言うことを聞かせるには、ニンジンをただ食べさせるのではなく、むちの先にニンジンを括り付けるべきだという古いことわざを彼らは承知している。
(リンク先に続きあり)
Hugo Dixon
2017年 4月 4日 2:24 PM JST