2019年06月07日

週刊SPA!編集部

 仕事や家庭などさまざまな場面で感じる「生きづらさ」が日本人に蔓延している。30〜55歳までの男女2000人を対象にしたアンケート調査でも64.5%の人が生きづらいと感じている現代社会。繊細すぎる感性を持つ『HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)』という気質や発達障害など注目を集めている。もはや国民病とも言える、その病理に迫る! <HSPとは?> 「ハイリー・センシティブ・パーソン」の略。感覚から得た情報を処理する神経が敏感で、刺激や他人の感情に過敏に反応してしまう特性を持つ



(写真)
和田 亮さん(仮名・25歳)取材場所の条件として「タバコの臭いがせず静かな場所」を指定した和田さん。取材を終えるとすぐにマスクをして街へ消えていった



強い光、匂い、音……外的刺激にもとても敏感

「子供の頃、一緒に車に乗っていた母親の化粧の匂いで気持ち悪くなって、しょっちゅう嘔吐していました。今でも他人の香水や柔軟剤などの匂いがきつい場所は苦手ですね。大人になるまで親と一緒に暮らすのでさえイレギュラーな刺激が多すぎて苦痛でした」  そう語るのは和田亮さん(仮名・25歳)。五感が敏感で、匂いや音などの刺激を必要以上に感じやすいのもHSPの特徴のひとつだ。
「いろいろな匂いが混ざり合った満員電車に乗ると、呼吸ができなくなるほど苦しくなります。そのため外出する際は常にマスクが必須。大きな音も苦手なので、音楽を流さないままイヤホンをつけて音を遮断したり、強い光に刺激を受けないようサングラスを常備したりしています。渋谷や新宿など刺激に溢れた繁華街には極力足を踏み入れないよう生活しています」  
通勤ラッシュを避けるため定時より1時間早く出社。職場でも周囲のノイズが気になったらトイレに逃げ込む。大勢での飲み会も苦手なので、極力参加しないよう同僚ともビジネスライクな交流しか持たない。そうやって自分のコントロールできない刺激を可能な限り避けるよう注意することでなんとか折り合いをつけているという和田さん。現在恋人はいるものの、今後の人生については悩みが尽きないという。
「優しく育ててくれた親が発する音や匂いでさえストレスに感じていたほどですから、よほど相手にHSPについて理解してもらわないと共同生活は難しいだろうなと。時間はかかるかもしれないけど、話し合ってお互いの妥協点を探っていけたらと思っています」
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