2018.10.15 19:52
 セブン銀行は15日、全国に展開する2万4千台超のATM(現金自動預払機)で主要な交通系ICカードの電子マネーをチャージ(入金)できる業界初のサービスを開始した。
この日は、同じコンビニ系で新規参入のローソン銀行も営業を開始。キャッシュレス決済など多角的なサービス展開も視野に入れるローソン銀と、ATMの高機能化で先行するセブン銀の競争の火ぶたが切られた。

 セブン銀のATMでチャージできるのは「Suica(スイカ)」など10種の電子マネー。ICカードのほかスマートフォンやウエアラブル端末にも対応した。電子マネー対応でATM取引件数を増やし、提携する金融機関からの手数料収入の拡大を図る狙いだ。
 セブン銀はATMを経営の軸に据え、来年度中には次世代ATMの導入を予定している。国外でも米国に約8千台のATMを設置しており、フィリピンやタイ、香港など「セブン−イレブン」がある他の国での事業展開も構想している。
 一方、ローソン銀は新千歳空港(北海道千歳市)内に、ローソン店舗外では初めてのATMを設置し、営業を始めた。
 今後、地域金融機関が対応するのが難しい、海外カードを利用できるATMを連名で設置する予定もある。手始めに福井銀行と提携し、福井県内にATMを設置する。
 ローソン銀のATMは現在約1万3千台。セブン銀とは倍近い開きがあるが、こうした取り組みで巻き返すとともに、投資信託販売やキャッシュレス決済の枠組み作りなど新ビジネス展開で差別化を図る方針だ。

 人口減少やインターネット金融サービスの拡大を背景に、1台当たり月数十万円とされるATMの維持費は銀行経営の重荷となり始めている。セブン銀もローソン銀も、コンビニの店舗網を活用し、
顧客対応を見直す銀行の受け皿としてATM事業を強化する戦略は一緒だ。ただ、その先の戦略は異なる。ATMに磨きをかけるセブン銀と、多角化を志向するローソン銀のどちらの選択が奏功するのか、今後が注目される。
(林修太郎)
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