短い文章から事実を正しく理解する「基礎的読解力」について、国立情報学研究所の新井紀子教授や名古屋大学などのグループが、
全国の小中高校生や大学生、社会人らを調べたところ、多くの中学生の読解力に問題があることが分かった。
中学卒業までの読解力が将来に影響するという。
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調査では、中学や高校の教科書や、東京新聞などに掲載された記事など数百の題材をもとに問題を作り、
コンピューターで無作為に出題した。

三十分間でできるだけ多く解いてもらい、内容を正しく把握できているかを調べた。
昨年から今年にかけて、全国の約二万四千人に実施した。
問題はすべて選択式で、文章の意味が分かれば、知識がなくても解ける。

その結果、中学三年生の約15%は、主語が分からないなど、文章理解の第一段階もできていなかった。
約半数が、推論や二つの文章の異同などを十分に理解していなかった。

また、基礎的読解力は中学では学年が上がるにつれて緩やかに上昇するが、高校では上昇しなかった。
高校の教科書が理解できず、力が伸びていない可能性があるという。
基礎的読解力と進学できる高校の偏差値との間には、強い相関があった。

新井教授は
「基礎的な読みができていないと、運転免許など資格の筆記試験にも困難を伴うと予想される。
 中学卒業までに中学の教科書を読めるようにしなくてはならない」と話した。

グループは今後も調査を継続し、基礎的読解力に困難を抱える子どもの早期発見や支援策の検討に役立てる。
分かりやすい教科書作りなども提言していく。

以下ソース:東京新聞 2017年9月23日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017092302000119.html