昨年、不当な費用を依頼者から受け取っておきながら返金にも長く応じなかった問題で、東京弁護士会から業務停止1カ月の懲戒処分を受けていた大渕愛子弁護士が、ブログでテレビ復帰について「このタイミングでのレギュラー番組への復帰はしない」とコメントした。

 しかし、当のテレビ関係者からは「復帰アピールにしか聞こえない」という声が聞かれる。

 3月27日のブログには、確かに「復帰を待っていてくれていた番組もあり、復帰したい気持ちもありましたが、色々と考えた結果、このタイミングでのレギュラー番組への復帰はしないという結論に至りました」と書かれているが、その後の文では「レギュラー番組以外の出演やレギュラー番組の将来における出演については、育児や本業の状況に照らしつつ、都度検討させて頂ければと思っております」と、結局は含みを残した内容になっていた。

「実際には、出たくてもオファーがほとんどない、というのが現実なのでは?」と話すテレビディレクターもいる。

「大渕さんが復帰したくても、テレビ側は難しい状況ですよ。最近は番組にやたら弁護士が出るようになって、その選別が重要になってきているんです。大きい声では言えませんが、情報番組ではNGリストがあるほど。これは“コンプライアンス的に問題を起こした弁護士を使うのはやめよう”ということで、大渕さんだけでなく、ひそかに画面から消えた弁護士もいる。そう考えると、大渕さんの起用はイージーではないですよ」(同)

 大渕弁護士は、ブログで「復帰を待っていてくれていた番組」があったと書いており、現にレギュラー出演していた『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)は彼女が座っていたイスを空席のままににしている。だが、前出ディレクターは「そりゃ、番組側は、本人にはそういう感じのことを言いますよ。でも、実際に起用するかといえば、ハードルは低くない」と言う。

 実際、情報番組『白熱ライブ ビビット』(TBS系)のほうは、スタッフに聞いてみたところ「復帰の話は、1ミリも持ち上がっていない」という話だった。

 大渕弁護士の起こした問題に対しては、世間でかなりのバッシングがあり、ネット上では“悪徳弁護士”とまで呼ばれた。

 これは10年、養育費請求の依頼をした女性が、着手金17万8,500円を立て替える日本司法支援センター(法テラス)の援助制度を利用したにもかかわらず、残金7万3,500円と5カ月分の顧問料10万5,000円を請求し、受け取ったというもの。女性から返還の要求があっても、大渕弁護士は弁護士会の説得があるまで返金を拒否していた。

 都内で活動する司法書士も「弁護士会の処分はともかく、悪質なのは確か」という。

「援助制度を利用するのは社会的な弱者で、実際に養育費の未払いで困窮していたわけです。そんな女性から金を取り立てた上、この程度の案件で顧問料を取ったのは、モラルを問われる話。通常は成功報酬でいいところ、解決するまで顧問料がもらえるというなら、放置しておくほど儲かることになってしまいます。その言い訳が『法テラスの制度をよく知らなかった』と、素人以下だったのもあきれますね。弁護士全体のイメージを落としたといえるでしょう」(同)

 とはいえ、大渕弁護士はテレビ出演こそしていなくても、雑誌などのインタビューやライフスタイルをアドバイスする講演活動、商品プロデュースなどのほか、ブログでは夫の俳優・金山一彦との子育ての様子を伝えていて、その知名度を生かした精力的な活動は、タレント顔負け。テレビだけ出ていないのが不自然に思えるほどだ。それだけに「テレビに出たい」という本音が「都度検討」に表れたのかもしれない。

 ただし、前出ディレクターの話が業界の一般的な見方であるのなら、テレビ側がそれを許すかどうかは難しいところだ。ディレクターは「弁護士を辞めてタレントになってしまえば使える」という話もしていたが……。
(文=藤堂香貴/NEWSIDER Tokyo)

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