【壁を越えろ】読書ノォト【正常性バイアス】
ここは腹黒さんの乱読お転婆読書ノォトです
がっつりネタバレを含む感想を遠慮無く書き殴る予定なので
もし読みたかった未読の本の題名が見えたのなら
直ちにそっ閉じ、そして回れ右推奨です ・猟師の肉は腐らない
・漬け物大全
・百年の梅仕事
・ウーウェンさんちの定番献立
・鍋奉行犯科帳 シリーズ2冊
10/24返却期限 ・猟師の肉は腐らない 小泉武夫 新潮社
渋谷の小さな酒場で知り合ってからというもの
何故か世界中のありとあらゆる場所で邂逅を果たす今は猟師の男と
発酵学の第一人者である好奇心旺盛な著者(先生)との
不思議な縁が織り成すお話
今は生まれ故郷の福島八溝山地で猪撃ちをしている
義っしゃんから先生に山独活が届く所から
本編の流れが始まる
義兄んにゃが話す言葉は八溝弁と阿武隈弁のごちゃまぜ語で
話が進むにつられて先生も段々訛ってくる
(先生も福島出身)
二人が話す言葉は短く柔らかく。思わず読むスピードを緩めて
心の中で音読してしまう位に心地が良い
誘われるがままに、電気も引かれていない
まるで山小屋のような義兄んにゃの家を拠点にして
夏と冬の二つの季節を舞台に
好奇心旺盛な先生に様々な食の体験が押し寄せる ありとあらゆる山の幸を二人は食べていく
時には自ら望んで昆虫まで堪能する先生
好奇心も凄まじいがそれに喜んで応える兄んにゃも兄んにゃである
食事の表現が旨味がジュルジュル甘味がチュルチュル
ピュルルチュルルと音が独特で生々しいが肉感的な表現が続く
あまり空腹時には読まない方が良いかも知れない
義兄んにゃの生活の知恵もまた独特で
トイレの捨て紙用に夏に大量の蕗の葉を採ってきて
良く干した後一枚一枚揉んで広げて使用するという
ザラザラしないでしっとりして良く拭けるらしい
叺(わらむしろの袋、土嚢袋の先祖)
それに五袋で一年大丈夫だとか
そんな山中でのサバイバルに役立ちそうな会話がてんこ盛りなので
キャンプをする人や世紀末に不安を持っている人にはお薦めの一冊である