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中央区のバス高速輸送計画、豊洲・台場方面へ延伸も
2014/2/28 6:00

 東京都中央区が銀座―晴海間で計画しているバス高速輸送システム(BRT)が、豊洲やお台場方面に延伸される可能性が出てきた。
築地市場の豊洲移転や東京五輪の開催で臨海部の交通需要は今後大きく増える。
このため東京都は優先信号システムの整備や車両基地の提供などで拡充計画を支援する検討を始めた。
臨海部は都心直通の公共交通機関が少ないだけに、実現すれば利便性が大きく向上しそうだ。

 BRTは連節バスなどを使い、専用道やレーンを走ることで通常のバスに比べ大量・定時の輸送を可能にするシステム。
中央区はマンション建設などで人口増加が続く晴海、勝どき地区と銀座を結ぶ交通機関としてBRTを独自に検討してきた。
晴海―築地間は現在建設中の環状2号線を使い、その先は裏通りをバス専用道にして銀座の中心部まで結ぶルートを想定。
来年度に運行を委託するバス事業者を募集し、2016年度の運行開始を目指している。

 一方で晴海の先にある江東区湾岸部の交通需要も今後大きく伸びる見通しだ。
豊洲新市場は観光客向けの施設だけで年間420万人の来場を見込む。
有明は五輪後に仮設の競技場が住宅地に変わり人口が3万人増える見通しだ。
この地域の公共交通機関としては新交通ゆりかもめがあるが、臨海部の主要ポイントを巡回する形で路線がつくられており、都心に直結する交通機関の整備を求める声も高まっている。

 都はこれらの事情を踏まえ、中央区のBRT構想を拡充し、広域交通として整備する検討に入った。
事業の具体的な枠組みは今後詰めるが、晴海までの現行計画ルートを豊洲や有明、台場など臨海副都心まで延伸し、都心部と直結する路線とする。臨海副都心付近の都有地をバスの車庫用地として提供することを検討していく。

 現在は空港へ向かうリムジンバスの路線のみで認めている特殊な信号システムを、BRTのルートに導入することも検討する。
道路上に設置したセンサーと車載機が交信し、信号の変わる時間を調整して停車時間を減らす仕組みで、専用レーンがつくれない場所でもスムーズな運行に役立つ。

 BRTの強みは導入にかかる費用の安さ。連節バスは1台8000万円ほどするが、必要な地上整備が少ないため、全体で数十億円で導入可能。
地下鉄の整備費用が1キロメートル当たり200億円以上、次世代路面電車(LRT)が同数十億円なのと比べても安い。

 現段階では中央区の単独事業であるBRT構想に都が関わることで延伸が実現すれば、湾岸地域を利用する多くの人の利便性が増しそうだ。
臨海副都心へつながるルートの方が採算が取りやすく、バス事業者の募集がしやすい利点もある。