(1)不法行為における故意又は過失とは?










民法709条でお金を請求できるのは、相手に故意または過失がある場合に限られます。

故意…自分の行いによって他人に損害を与えると知りながらその行いをすること
過失…損害が発生すると予想しそれを回避することができたのに避けなかったこと
刑法と異なり、民法では故意と過失は明確に区分されていません。いずれにしても相手の何らかの落ち度で損害を被った場合には、お金を請求できます。

逆にいえば、不可抗力で損害を被ったとしても損害賠償を求めることはできません(過失責任の原則)。

たとえば、次のようなケースを想定してみましょう。

深夜の森の中、自動車を運転中、子どもが突然飛び出してきたので、衝突してしまった。

このようなケースでは、自動車の運転手に何ら落ち度がないため、損害賠償請求は認められにくいといえます。

ただし、土地工作物責任(民法717条)における工作物の所有者など過失がなくても責任が生じることはあります。