3. カトリック教会は社会的な問題に対しても関与し、貧困、社会的不平等、環境問題などに対する積極的な発言を行っています。上記の戦争・死刑の否定と合わせて、「罪からの解放」というとても古い考えからです。プロテスタントの「奴隷意志論(マルティン・ルター)」「決定論」に対してデジレウス・エラスムス司祭は、製アウグスティヌスの神学を援用して「自由意志論」を著しました。「リベラル」という言い方はこのような古いカトリックの考えに由来します。とくに北米では、主流であったプロテスタントすなわち保守に対して、アイルランド系、ポーランド系、イタリア系などなどの新規移民やヒスパニックがカトリック教徒であり、差別的にリベラル、とよばれた経緯があります。
4. 長老派プロテスタント教会(英国国教会Anglican Catholicとカルヴァン派清教徒の折衷教会)の高位聖職者と一般信徒の間にあった信仰の分断から、高位聖職者・神学校のメーンラインと一般信徒や下位牧師の*福音(聖書のみというルター以来の看板)派が分裂しました。この分裂は星の数ほどある各プロテスタント教会に飛び火した後、反メーンラインのうちからクリスチャン・シオニストやペンテコスタ派(カリスマティックというカトリックもあります)原理主義者のような福音派とは対立する教会も現れました。ひとまとめに宗教右派とよびます。宗教右派とメーンラインの際立った違いは、メーンラインがカトリックをキリスト教と認めるのに対して、宗教右派は異端としている点です。
*カトリックの「聖書と聖伝(聖母マリアなどなど)」に対してルターは「聖書のみ」といういわば原理主義を主張し、新設した教会を「ドイツ福音教会」と命名しました。世界各地のルーテル教会の本家です。ややこしいのは北米ではルーテル教会も「メーンライン」と「福音派(宗教右派)」に分裂しています。