「才能」を育む

2023.02.17

岩波 精

才能ある子どもを支援しようという取り組みが広がっています。才能を開花させるための取り組みのひとつが、高校で先進的な科学教育を行うスーパーサイエンスハイスクール(SSH)です。
なぜ妹ばかり蚊に刺されるのか――子どものころ抱いた疑問をきっかけに、蚊に血を吸われやすいヒトの研究で注目された田上大喜さん(23)は、研究ができる環境を求めてSSHを進学先に選びました。 
いま、英オックスフォード大大学院の博士課程で遺伝子を研究しています。海外の小中学校で過ごした経験もある田上さんに、才能を伸ばす学びについて聞きました。(写真は、米コロンビア大での実験の様子=田上さん提供、Michael Dames for Columbia University’s Zuckerman Institute)
研究できる環境を求めてSSHに進学

「勉強が本当に難しくて、まわりもすごい人ばかり。もっとやらないと」。昨秋、英オックスフォード大大学院に入学した田上さんは、学ぶことが楽しくて仕方がないという。
飛び級制度で米コロンビア大と大学院修士課程を4年で終えて進んだ。「遺伝子を研究して病気のない世界をつくりたい」と話す。

会社員の父の転勤に伴って、幼少期を海外で過ごした。蚊の研究をしようと思い立ったのは、10歳から14歳まで暮らしたシンガポールでのことだ。
熱帯に位置するシンガポールでは蚊が媒介する伝染病「デング熱」の被害が深刻で、国を挙げて撲滅キャンペーンが行われている。
家族も気をつけていたが、長袖を着ても、妹だけが何度も刺され、水ぶくれになってしまう。「かわいそうで、なんとかしてあげたい」と思ったのがきっかけだった。

14歳で日本に帰国し、立命館宇治中学(京都府宇治市)に転入したころから、研究のため蚊を集め始めた。最初は近くの公園で虫捕り網を試したが、網目からすり抜けてしまう。
神社の近くで蚊がたくさんいる森をみつけ、小さなポリ袋で1匹ずつ捕まえて、段ボールで自作した「蚊のハウス」で育てた。
寒くなると死んでしまうため、夏でも冷房をつけず、9月後半からはこたつに入れて蚊の習性を観察した。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

https://www.asahi.com/edua/article/14838351?p=1