カーリングのストーンはなぜ曲がるのか――。100年近く科学者の間で激論が交わされた「世紀の謎」を、村田次郎・立教大教授が精密な画像解析で初めて解決した。

 畑違いの分野だったものの、成果をあげたことで村田さんにも新たな夢が芽生えたという。

問題提起後、説が乱立……世紀の謎に
 冬季オリンピックのテレビ中継などで人気のカーリング。試合を見ていてストーンの動きに違和感を覚える人は多いかもしれない。

カーリング、日本代表ロコが優勝
 例えば、コップを回転させて机の上を滑らせると、時計回り(右回転)なら左、反時計回り(左回転)なら右に曲がっていく。これは一番すれる部分が進行方向の先端で、回転方向とは逆に反作用としての摩擦力を受けるからだ。

 一方、カーリングのストーンは、回転方向と同じ向きへと曲がっていく。右回転なら右へ、左回転なら左へ、という具合だ。

 この謎は1924年に学術誌で初めて提起され、その後、さまざまな説が乱立した。

 代表的なものは三つある。

 一つ目が、ストーンが回転している時、速さの異なる右側と左側で摩擦力が違うという「左右非対称説」。

 二つ目が、摩擦が何らかの理由で前側より後ろ側の方が強いためという「前後非対称説」。

三つ目が、ストーン底面のザラザラが氷に引っかかり振られる「旋回説」だ。これは走ってきた人がどちらかの手で柱をつかむと、柱を支点につかんだ手の方向に曲がるのと同じ理屈だ。

 しかし、どの説が正しいか判定できるほどの精密なデータがなく、決着がつかずにきた。

続きは有料会員で
https://www.asahi.com/articles/ASQC84H53QBVULBH001.html