外来種のアリ「アシジロヒラフシアリ」が伊豆諸島の八丈島で大発生し、島民の生活が脅かされている。家の隅々に侵入して巣を作るだけでなく、エアコンを故障させる被害も相次いでいる。東京都八丈町は、東京都立大などと共同で殺虫効果の高い毒餌を開発して駆除に取り組むなど、対策を急いでいる。
アシジロヒラフシアリは体長約2・5ミリ・メートルで熱帯アジア原産。日本では東京、神奈川、徳島、高知、宮崎、鹿児島、沖縄の7都県で定着が確認されている。植物などに紛れ込んで入ってきたとみられるという。八丈島で被害が目立ち始めたのは2011年頃で、現在は島全体に生息域が広がっている。

屋内のタンスの中や家具の下、壁の隙間などに巣を作って大発生するのが特徴で、21年度は電気の接続不良が27件、エアコンなどの家電や家具の被害が8件報告された。エアコンは室外機や本体に入り込み、電子基板をショートさせるなどして故障させてしまう。

八丈島以外の国内の定着地では、ここまで深刻な被害の報告は少ないという。八丈島のアシジロヒラフシアリは遺伝子が変異するなどして、他の地域より大発生しやすくなっている可能性がある。

このアリは市販の毒餌を好まず、スプレータイプの殺虫剤もほとんど効き目がない。このため同町は20年から、都立大や森林総合研究所と共同で独自の毒餌を開発している。昨年春からこの毒餌を使い、特定の地域の働きアリを一斉に駆除して巣に帰さない作戦を開始した。被害が深刻な集落の272世帯に毒餌を1・8リットルずつ配り、軒先や植え込みなどにまいてもらったところ、9日後には集落のアリが7分の1以下の13%にまで減少した。

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