ノズルの先から白い霧が噴き出した。
 熱中症対策に使われるミストシャワーのようだが、もっと勢いが強く、霧は濃い。

わずか数秒後には、テニスコートほどの大きさのテントの中は、全体に霧が立ちこめた状態になった。

 ここはカリフォルニア州シリコンバレーの北部の小高い丘にある米ゼロックス社のパロアルト研究所。

 1970年代半ばに今のパソコンの原形を作り上げ、後にマックを発売するアップルの創業者、故スティーブ・ジョブズ氏も訪ねた名だたる研究機関だ。

 テントはテラスの一角に、設置されていた。

 霧を噴き出した装置は、ガスタンクやポンプがホースでつながれ、その先に4本の「ノズル」があった。

 「構造は詳しく説明できませんが、ノズルの部分で塩化ナトリウムを含む水と圧力がかかった気体が混じり合い、小さな気泡が生まれ、非常に小さな粒子が飛び出していきます」
 研究員がそう説明する。

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https://www.asahi.com/articles/ASQ8L55XSQ83UHBI05Q.html