慶應義塾大が東京歯科大合併で歯学部よりも「欲しかったもの」

 慶應義塾大学と東京歯科大学の合併に向けて協議を始めた。
 合併が順調に進めば、2023年4月にも「慶應義塾大学歯学部」が誕生するという。
 少子化と新型コロナウイルス禍で大学の経営環境は激変し、こうした連携・統合の動きは他大学に波及し、大学の生き残り策が模索されていく可能性がある。
 今回の慶應義塾大と東京歯科大学の統合を医師はどう見たのか。
 現在、連載中の「フリーランス女医が鋭く分析『医者の働き方、稼ぎ方』」の著者の筒井冨美氏が緊急レポートする。

■2023年、慶應義塾大学「歯学部」誕生の意味

 2020年11月末、「慶應義塾大と東京歯科大は合併協議を始め、2023年度をめどに歯学部を統合」とのニュースが発表された。
 慶應義塾大学には既に医学部と看護医療学部が存在し、2008年には共立薬科大学と合併して薬学部を設けている。
 今回の合併で歯学部を追加することで、医療系学部の総合的な研究や教育の推進が期待されている。

 慶應大以外の医療系大学の合併としては、2011年に上智大学が同じくカトリック系の看護大学であった聖母大学と合併し、総合人間科学部看護学科を設けた。
 開設にあたって「国際看護学コース」を新設するなど、看護大の伝統に加えて上智らしい国際性も追加されたカリキュラム編成となっている。
 また2016年には大阪医科大学と大阪薬科大学の合併が発表され、21年度から大阪医科薬科大学が発足する予定である。

 医療業界に属する者として、薬学部開設時より「次は歯学部を物色している」との噂はあったので「歯科大合併」のニュースそのものは驚かなかった。
 「歯科クリニック増えすぎ」「歯医者のワープワ化」などの報道を受けて私立歯学部の人気は低迷傾向にあり、「6年で歯科医師になれる確率は3割以下」「学費さえ払えば誰でも入れる定員割れFラン校」のような経営困難な歯科大は複数あり、そのいずれかが吸収合併されるのだろう……と予想していたのだ。

 「相手が東京歯科大」は個人的には想定外だった。私立歯科大の中では入試偏差値は常にトップクラスであり、2020年の歯科医師国家試験合格率は国公立を含んだ中で全国1位だった。
 ゆえに、「身売りするほど困っている」ようには思えなかったのだ。

(以下略、続きはソースでご確認下さい)

筒井冨美
フリーランス医師

幻冬舎ゴールドオンライン 2020年12月1日 11時15分
https://news.livedoor.com/article/detail/19306098/