0001しじみ ★
2020/08/02(日) 03:59:27.60ID:CAP_USER地球上にある氷の8割を占める東南極氷床は、従来の予想より温暖化の影響を受けやすいかもしれない。
これまで、地球最大の氷床である東南極氷床が最後に後退したのは約300万年前だと考えられていた。しかし、7月22日付けで学術誌「ネイチャー」に掲載された論文によると、この地域で採取された鉱物を分析したところ、40万年前にも大部分が崩壊していたことが示唆された。何よりも意外だったのは、長く続いたものの比較的穏やかだった間氷期に、劇的な変化が起きたと推定されたことだ。
その時期の大気中の二酸化炭素濃度はさほど高くなく、300ppm程度だったと、米ネブラスカ大学リンカーン校で南極の氷河の歴史を研究しているデビッド・ハーウッド氏は説明する。
「それが怖いところです」とハーウッド氏は言う。というのも現代の二酸化炭素濃度は、すでに1915年には300ppmを超え、今では410ppmまで上昇しているからだ。40万年前は現在よりも海面が高かった。だが、この余分な二酸化炭素によって、今後数百年で地球の気温や海面は40万年前よりはるかに高くなる恐れがあると氏は懸念する。「未来にとって良い兆候ではありません」
グリーンランドや西南極などの氷床は、来世紀には失われると予測されている。グリーンランド氷床は北極から遠く、暖かい空気にさらされているし、西南極氷床は海面よりかなり下にある岩盤の上に乗っていて、暖かい海流に触れているという事情がある。一方で東南極氷床は、酷寒の南極点を含むうえ、その大半が温暖な海から隔絶された陸地の上にあるため、比較的安定しているだろうと考えられていた。
「東南極氷床は何十年も無敵の鎧(よろい)を着ていました」と、今回の研究に参加した米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の氷河学者スラベク・トゥラチュク氏は言う。この氷床が縮小することなど、「つい最近まで、ありえないとされてきました」
今回の発見が正しければ、東南極氷床は予想より早く海面上昇をもたらすことになるかもしれない。東南極氷床を含め、今後数百年で解ける可能性がある氷がすべて融解した場合には、海面は13メートル上昇すると予想されている。人類がこれまでに作り出してきた温室効果ガスは、この予想を確実なものにしてしまったのかもしれない。
■ウランが来た道
今回の発見の元になったのは、氷床のはるか下にある、白黒の繊細な結晶の層だった。トゥラチュク氏と、同じくカリフォルニア大学サンタクルーズ校の地球化学者テリー・ブラックバーン氏は、別の研究をしているときに偶然この結晶に出合った。
2017年、両氏が東南極の海岸にあるテイラー谷を訪れたときのこと。目的は、ある謎を調査することだった。この谷から染み出してくる水に異常な高濃度のウランが含まれていることがわかっていたので、その理由を探りたかったのだ。
「ウランは別の場所から来ていました」と、ブラックバーン氏が指導していた博士課程の学生で、調査に同行したグラハム・エドワーズ氏は言う。氏らは氷床の歴史について興味深い事実が判明するかもしれないと期待して、ウランが来た場所を探しはじめた。
ウランは核燃料として知られる放射性元素だが、世界中のあらゆる岩石や河川や海洋に微量に含まれている。そのほとんどはウラン238と呼ばれる重い同位体で、その中にわずかにウラン234という、ウラン238が放射性崩壊してできる軽い同位体が混ざっている。
氷床が長期にわたって大陸を覆っていると、その下に閉じ込められた水の中に、ウラン234が徐々に蓄積していくことが知られている。氷床の下の岩石や砂利に含まれるウラン238が崩壊する過程により、生じたウラン234が水中に流出しやすくなり、時間とともに濃度が上がっていくという。
テイラー谷を流れる水は、通常の2〜5倍という異常に高い濃度のウラン234を含んでいる。氷床の下で「この液体は、かなり長い間、岩石と接触していたのです」とブラックバーン氏は推測する。
そこで、東南極氷床の下にあるウラン234の量を測定すれば、現在の氷床ができてからどのくらい時間が経ったかについて、手がかりが得られるのではないかと期待された。
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