人工衛星や地上の通信網に悪影響を与える太陽表面の巨大爆発「フレア」を予測できる新手法を名古屋大と国立天文台が開発し、31日付の米科学誌サイエンスに発表した。現在運用されている予測精度は50%ほどだが、新手法は過去10年間に9回あった巨大フレアのうち7回を予測できたという。衛星や通信の被害を防ぐ宇宙天気予報の精度向上につながると期待される。

 フレアは、太陽表面の黒点付近に蓄えられたエネルギーが一気に解放されて爆発する現象。放出される放射線や高エネルギー粒子は水素爆弾1億個分に匹敵することもあり、1989年にカナダで大規模な停電を起こしたほか、2000年には日本の天文衛星「あすか」を制御不能に陥れた。

 これまでは黒点の大きさや形から発生を予測していたが、経験則に頼る部分が多かった。名大の草野完也教授らは、黒点付近で磁場がどうゆがみ、エネルギーを解放するのかをコンピューターで計算。太陽表面の磁場の状況をほぼ再現できるところまでたどり着いたという。

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