→イカの環歯は自己修復能力を持っている
→イカの環歯の遺伝子を書き換え改良することで自己修復能力を強化した新素材を作った
→新素材は損傷をわずか1秒で修復する能力があった


近年の急速な合成生物学の進歩によって、生命の設計図ともいわれる遺伝子を、新素材のレシピとして使うことを可能になっています。
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生物の能力を新素材に取り込むことで、既存の非生物学的な素材には獲得不可能であった特性を得ることができるのです。

中でも自己修復能力は非常に生物的な能力であり、幅広い分野で活躍すると期待されています。

そこで今回、合成生物学の研究者たちは、イカの環歯(吸盤の中にあるリング状の歯)の再生能力を改良し、損傷を1秒以内に自己修復する柔らかい新素材を開発しました。

これまで多くの自己修復能力を持った素材が開発されてきましたが、どの素材も修復には数時間から数日を必要とし、多くは修復後の強度が低下します。

しかし今回、イカの環歯を元に開発された新素材は、損傷を瞬く間に修復するだけでなく、修復後も以前と変わらず100%の強度を維持し続けることがわかりました。

生物の特性を持つ新素材は、私たちの生活をどのように変えていくのでしょうか?

■イカの環歯の自己再生能力を利用

私たちが日々使っているマスクは、繰り返しの着用ですぐに繊維がボロボロになり、小さな穴からウイルスの侵入を許してしまいます。
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またソフトロボットのアクチュエータ(人工筋肉)も繰り返しの動作で内部繊維が劣化し、切れやすくなってしまいます。

これら柔らかな素材の持つ脆弱さを解決するには、素材自体が生物の体のように自己修復機能を持つ必要がありました。

そこでドイツの研究者は「イカの環歯」に着目したのです。

イカの環歯は、個々のイカ吸盤の中心部に存在する環状の硬い構造物であり、イカが獲物の体を掴むために使われます。

このイカの環歯は、私たち人間の歯と違って自己修復能力があることが知られており、ヒビが入った場合でも即座に再接着し、強度を回復させることが分かっています。

このイカの環歯の回復力の秘密は、イカの遺伝子が作る特殊なタンパク質に由来します。

続きはソースで

https://nazology.net/archives/65495