新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中に広がるきっかけとなった、無症状・軽症状の患者からの感染はなぜ見過ごされたのか。12ヵ国以上の医療現場を取材した米紙が、ドイツからの研究報告に目を背けたWHOと世界の保健当局の怠慢を明らかする。

2020年1月27日、ミュンヘン大学病院の感染症専門医カミラ・ローテ博士のもとに、ドイツ政府の研究所から驚くべき検査結果が届いた。

それは彼女の患者が、ドイツでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の第1号になったと知らせるものだった。

自動車部品を取り扱うベバスト社に勤めていたその患者の感染源は、中国から出張してきた同僚女性しか考えられなかった。だがドイツ滞在中、その同僚はすこぶる健康そうだったという。2日間にわたる会議の間、せきやくしゃみ、疲労や発熱の兆候は見られず、中国に戻ってから具合が悪くなりはじめた。

感染症の専門家たちは当時、症状のある人だけが新型コロナウイルスを拡散させると信じていた。同ウイルスは、SARS(重症急性呼吸器症候群)と遺伝子的に近く、同じような性質だと考えられていたからだ。

だが、もし専門家たちが間違っていたとしたら? つまり一見、健康な人やまだ症状が出ていない人がウイルスを拡散させるとしたら、その影響は計り知れないものになる。国民への啓発や空港でのスクリーニング、感染者の隔離だけでは感染を食い止められないかもしれない。

その夜、ローテ博士は数十人の医師や保健当局の公衆衛生担当者に「コロナは潜伏期間中も感染が広がる可能性がある」とメールで伝えた。

■誤解を招いたWHOのアドバイス

世界で1300万人を超える人が感染し、死者数が60万人に近づいていながら、新型コロナウイルス感染症はいまだに謎に包まれている。最悪の事態は過ぎ去ったのか、それとも世界的な感染の第二波がこれから襲ってくるのかどうかも、まだわからない。
だが、秘密主義の独裁政権から自信過剰な民主主義国家に至るまで、多くの国々が対応に失敗し、ウイルスの性質を見誤っているのは明らかだ。ウイルスを抑制するためにはタイミングが非常に重要だった。にもかかわらず、その多くが見過ごされてきた。

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