0001しじみ ★
2020/07/03(金) 02:38:42.19ID:CAP_USER高度に進んだ文明(異星人や未来の人類)なら、この手法を利用して、「ブラックホール爆弾」を製造してエネルギーを得られるかもしれない。だが、そのために必要な物理現象のいくつかは、一度も実験で実証されたことはなかった──いままでは。この手法の基礎となる物理現象を裏づける我々の研究が、先ごろ「ネイチャー・フィジックス」誌に発表された。
■ブラックホールから逃げるエネルギー
「事象の地平線」(ブラックホールの周囲の境界で、これを越えると、どんなものでも、光でさえも逃げ出せなくなる)のまわりには、「エルゴ球」と呼ばれる領域を生み出している。ここに落下してブラックホールに捕まらず脱出した物体は、ブラックホールから効率的にエネルギーを奪っていく。つまり、ブラックホールに光や物体を上手く送りこめば、エネルギーを回収できるかもしれないのだ。
だが、この理論は成立するのだろうか? 1971年、ロシアの物理学者ヤーコフ・ゼルドビッチは、この理論を地球でテストできる別の回転システムを考案した。ブラックホールの代わりに、「エネルギーを吸収できる素材でつくられた回転シリンダー」を考案したのだ。
ゼルドビッチは、このシリンダーから光波がエネルギーを抽出し、増幅されるのではないかと推測した。だが、増幅をうまく作用させるためには、光波が「角運動量」を持っている必要がある。光波をらせん状にねじる勢い、ということだ。
ねじられた光波がシリンダーにぶつかると、「ドップラー効果」により、光波の周波数が変化する。救急車が通り過ぎる時に、誰もが経験したことがあるはずだ。救急車が近づいてくるときには、遠ざかっていくときよりも音が高い。移動の方向によって音のピッチが変わるのだ。それと同じように、回転速度が変化すると、知覚される光波の周波数が変化する。
シリンダーの回転が非常に高速であれば、変化後の光波の周波数は非常に低くなり、その値は負になりうる。簡単に言えば、波の回転が逆方向になるということだ。
正の周波数の波は、部分的にシリンダーに吸収され、エネルギーを失う。だが、負の周波数の波では、エネルギーを失うかわりにシリンダーによって増幅される。ペンローズ過程でブラックホールから逃げる物体と同じように、シリンダーの回転からエネルギーを抽出できるはずだ。
ゼルドビッチの理論を実証するのは、簡単に思えるかもしれない。しかしそのためには、回転物を光波と同じか、それ以上の周波数で回転させる必要がある。毎秒数百兆回の周波数で振動する可視光の波を増幅させるためには、現代の機械で実現可能な速度の数十億倍の速さでエネルギー吸収体を回転させなければならない。
■待ち望んだ突破口
光は、毎秒およそ3億メートルの速さで移動する。ゼルドビッチの理論を検証しやすくするために、我々は音波を使うことにした。音波の移動速度は、光の100万分の1ほどだ。つまり、吸収体をそれほど速く回転させる必要はないということだ。
ねじれた音波をつくるにあたり、我々は、環状に並ぶ複数のスピーカーを使用した。すべて同じ周波数を発するが、少しずつ違うタイミングでスタートするので、音がらせん状にねじれるというわけだ。回転する吸収体としては、音を吸収する発泡プラスチックをモーターに取り付けたものを使用した。発泡プラスチックの内部にマイクロフォンを設置し、回転する吸収体と音波が作用した後の音を記録した。
実験の結果、発泡プラスチックを低速(低周波数)で回転させたときには、音が発泡プラスチックに吸収されるため、記録される音は小さくなった。ところが、ドップラー効果により音波の周波数が負になるほどの速さで発泡プラスチックを回転させると、音は大きくなった。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/f7576a0f6241e96557758e42049056b6be48bfec