0001しじみ ★
2020/07/01(水) 21:50:14.86ID:CAP_USERN700Sは、現在の主力車両、N700Aの次の世代の車両として開発されているもので、「S」はN700系シリーズの中で最高の車両として、Supreme(スプリーム:最高の)に由来する。すなわち、新技術の採用、標準車両、環境性能の向上、安全・安定輸送性能の向上、快適性・利便性の向上の 5つをコンセプトに掲げ、技術面でも接客設備面でも従来のN700系から大幅に進化させた「フルモデルチェンジ」車両としている。
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■デュアルスプリームウィング形の先頭形状
東海道新幹線の証として白に青帯は変わらず受け継ぐものの、その青帯は一段多く重ねる形で運転台窓付近まで鋭く延ばされており、これが「S」を抽象的に表現している。また、編成を通じて片側6か所にシンボルマークが描かれており、流れるような「S」の文字は言うまでもなく先頭形状のイメージであり、それを中心に配置することで鉄道としての安心感や安定感を表現している。
先頭形状は、一連のN700系のエアロダブルウィング形と称するものから、新たに「デュアルスプリームウィング形」に変更された。空力特性改善のシミュレーションに取り組んできた成果で、コンピュータ計算能力の向上の賜物でもある。この三次元形状のシミュレーション結果に、さらにデザイナーによるチューニングを加えて最終の形状は決定された。内外装にわたりデザインの調整にあたったのは、300系いらい東海道新幹線車両に携わる福田哲男氏で、昨年の構体公開の際に先頭形状のポイントを語っている。その際の解説では、空力的な最適化に向けて先端部分の断面積を変更するにあたり、「両脇へと穏やかに下がるN700系の形状から峰を作ってボリューム感を増し、その峰にビードを通し、流れるラインを強調した」とのこと。
両サイドを盛り上げてエッジを立てた造形は、空気の整流作用によりトンネル微気圧波の影響を低減し、走行抵抗や車外騒音も抑えるとともに、最後部においてはノーズ先端の気流の渦巻きを解消し、左右の動揺を防止する。また左右を盛り上げたことで標識灯の開口部面積が20%拡大され、照射範囲が広がった。また、東海道新幹線車両では初のLEDを採用して明るくなったこととあわせ、運転士の視認性も改善されている。全体形状の変化から運転席部分の面積も若干ながら広がっている。
コンセプトに掲げた新技術の第一には、地震時のブレーキ距離の短縮を挙げる。これまで285km/hからの停止距離は3000m(平坦線の場合)であったが、N700A3次車で5%短縮した。N700SではATC・ブレーキシステムを改良し、さらに5%短縮する。また、自社の小牧研究施設の走行試験装置を活用した成果の一つとして、台車振動検知装置の機能向上を図り、良好な乗り心地の維持に向けて状態監視を強化した。
駆動システムでは、主変換装置の半導体素子をIGBT(ケイ素=Siを用いる)から、低損失かつ高温下での動作が可能な次世代素子であるSiC(炭化ケイ素)を用いたMOSFETとし、JR東海が独自技術とする走行風冷却式と組み合わせて20%の軽量化を図る。
■徹底的な小型化
公開当日は、浜松工場の棟内にN700A初期車の主変換装置とN700Sの主変換装置が並べて展示された。N700系は、後に全車、N700A(3次車にあたる)に準じてブレーキ性能の強化などの改造を受けてN700Aとなったが、このグループの主変換装置は冷却方式が強制通風式であり、装置の中央部にブロワを備えるため装置全体が大型で、レール方向で2200mmの大きさがある(枕木方向は車体幅いっぱい)。対してSiCを用いたMOSFETと、走行風冷却の採用によりブロワを排したN700Sの主変換装置は1000mmと、2分の1以下にまで小型化された。
なお、N700系は走行風冷却型の装置も併用し、増備の過程で編成内における走行風冷却型の比率を高めたり3次車ではすべてを走行風冷却型とするなどの変化がある。それでも素子はIGBTであるため主変換装置の小型化に限界があり、3次車でもその大きさは従来装置の4分の3程度にしか減じていない。したがって大きさで2分の1以下、重量20%減を達成したN700Sの主変換装置は大きな成果と言える。
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https://toyokeizai.net/articles/-/217215