0001しじみ ★
2020/06/29(月) 10:09:56.54ID:CAP_USER一見したところ同じ排気量、同じ気筒数に思えても、エンジン音が違うということはある。なぜそうなるのか、エンジン技術者に尋ねたことがあるが、その技術者も、ほかのメーカーでエンジンを開発した経験はないので、はっきりとはわからないとの答えだった。ただ、ひとつの可能性として「燃焼室の形は、メーカーごとに伝統的に永年培われてきた作り方があり、そこに違いがあるはずで、それによってガソリンの燃焼の仕方も若干異なり、結果的に違う音に聞こえるのではないか」との話であった。
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かつて、80〜90年代にグループCと呼ばれるプロトタイプスポーツカーのレースが行われ、これに参戦したトヨタと日産のレーシングエンジンの音は、明らかに違っていて、遠くからで姿を見なくても、いまどちらのマシンが走っているか音でわかったほどだ。
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同じ気筒数で、同じ排気量といっても、ボア×ストロークが異なれば微妙に総排気量は違ってくるし、ボアと呼ばれる燃焼室の直径が違えば、火炎伝播の時間や様子も変わるだろう。もちろん、バルブ挟み角やピストン頭頂部の形状によっても、燃焼室全体の形は変わってくる。それらによってガソリンの燃え広がり方も変わり、音が違ってくる可能性はある。
■燃焼のタイミングでも音は変わる
マフラー内部の構成によって排気の周波数を調整することができる
そのほか、たとえばバイクのレース用エンジンで、ヤマハはクロスプレーンと呼ばれるクランクシャフトを採用したことがある。
一般的に、直列4気筒エンジンのクランクシャフトは、ピストンを支えるコンロッドの取り付け部(大端部)が気筒ごとに180度ずつズレており、これによってピストンの上下の動きは4気筒とも一致する。対してクロスプレーンは、90度ずらすことによって、例えば1番の気筒が燃焼したあと270度回転してから3番の気筒が燃焼し、次に180度回転したところで2番の気筒が燃焼して、その90度後に4番の気筒が燃焼するというように、燃焼の時期が一定でなくなる。これによって、通常であれば高周波的な透き通ったエンジン音であるのが、クロスプレーンではこもりのあるブーンというエンジン音になるといわれている。
なぜそのような不均等な燃焼をさせるのかというと、高回転でエンジンを回すバイクレースの場合、通常の180度クランクで燃焼をさせるとピストンの上下動と燃焼時期が一致するため、燃焼圧力だけでなくピストンの慣性力も働いて、出力調整を微妙にしにくくなるというのだ。その点、燃焼時期を不均等とすることにより、ピストンの上下動による慣性力を打ち消せるので、燃焼による力の変化だけをライダーがとらえられるのだという。
もちろん、普段我々がもっとも耳にしやすい音は、排気音で、これは排気音を鎮める役目を果たす消音器(マフラー)の影響を受け、マフラー内部の構成によって排気の周波数を調整することができ、ことにスポーツカーでは透き通った音色に調整されるが、その制御を行う開発者のやり方や好みによって排気音は違って聞こえるようになる。
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