古代、奈良県の一部のことを「やまと」と呼んだことは確かで、そこに本拠地を置いた勢力が
日本列島全体を代表する政権となったことから、「やまと」は日本列島全体を指すことばとして
使われることになりました。

さて、訓読みとは、漢字が中国語として表す意味を、日本語に翻訳したものです。
そこで、中国語の「倭」は日本語で「やまと」なのですから、「倭」に「やまと」という訓読みが
生まれました。

しかし、もともとは必ずしもいい意味ではない「倭」という漢字を、日本人は気に入らなかった
のでしょう。やがてもっといい意味を持った「和(ワ)」という漢字を用いるようになります。

その結果、「和=やまと」となり、今度は「和」が「やまと」と訓読みされることになりました。
その後、さらに「和」に「大」を付けた「大和」が誕生します。

この場合の「大」は美称のようなもので、「立派なやまと」とでもいったところでしょうか。
「大」に本質的な意味はないのです。そこで、「大和」の2文字をまとめて「やまと」と読む
ようになりました。