山口大理学部(山口市)の小島渉助教の研究グループは、国立台湾師範大学(台湾台北市)の林仲平教授と共同で、カブトムシの成長速度が緯度に沿って変化し、北に生息するカブトムシの幼虫ほど早く成長するという研究結果を発表した。11日、イギリスの学術誌に掲載された。

 研究は、日本の各地域と台湾計14カ所に生息する同種類のカブトムシの幼虫約1000匹を飼育して実施した。25度の気温設定や同じ餌を与えるなど条件をそろえ、各集団間の成長速度の違いを観察した。

 結果、幼虫が最も大きく成長するまでに、台湾のカブトムシは約100日かかった一方、青森県のカブトムシは60日程度しか要しなかった。研究では要因として、高緯度地域の幼虫は、冬の間地面が雪に覆われるなどして成長できないため、比較的長い冬に備えて成長を早めていると考察。高緯度地域のカブトムシほど餌の摂取量が多く、食べ物を効率よく体重に変換する傾向にあると分析した。

 成長速度と生息地域の関連性の研究はカブトムシでは初めてという。小島助教は「カブトムシは誰でも知っていて生態は何でもわかっているように思うかもしれないが、新しい発見がまだまだたくさんある。身近な昆虫に目を向けてみると面白い」と話している。

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