中国が次世代宇宙船の試験機打ち上げに使用した長征5号Bロケット、そのコアステージが制御されないまま、日本時間5月12日未明に大気圏へ再突入すると予測されていました。コアステージは大西洋上で再突入したことが米空軍によって確認されていますが、一部の破片が地上に落下した可能性が報じられています。
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■コートジボワールに物体が落下したとの報道

米空軍で宇宙状況把握の任務にあたる18 Space Control Squadronは、長征5号Bのコアステージが日本時間5月12日0時33分に大西洋上で大気圏に再突入したことを確認したと発表しました。天文学者のJonathan McDowell氏(ハーバード・スミソニアン天体物理学センター)は、コアステージが北緯20度・西経20度の地点で再突入したとツイートしています。

再突入地点はモーリタニアの沖合でしたが、AfrikSoirによるとその南東方向にあるコートジボワールにおいて、空から物体が落下してきたとの報告が相次いだようです。幸い死傷者は確認されていないものの、Mahounou(マホノウ)では現地時間11日16時頃(日本時間12日1時頃)に長さ約10mの金属管が落下、N’guinou(ニュイヌー)では重さ50kgほどの金属管が家屋の屋根に刺さったとされています。

1972年に発効した「宇宙損害責任条約」では、地上へ落下した人工の宇宙物体による損害は打ち上げ国が責任を負うことと定められています。コートジボワールに落下した物体が実際に長征5号Bの一部だった場合は同条約の加入国でもある中国に賠償責任が生じることになりますが、コートジボワールはこの条約に加入していないため、The Vergeでは中国に賠償責任が生じるかどうかは不透明だと報じています。

なお、中国では複数のモジュールを組み合わせた独自の宇宙ステーションの建設を予定しており、来年予定されている「天和」コアモジュールの打ち上げには長征5号Bが用いられる見込みです。McDowell氏はThe Vergeに対して「中国は宇宙ステーション建造のために(長征5号Bを)複数回打ち上げることを計画しており、その度に同様の物体が打ち上げから数日後に再突入することになります」とコメントしています。
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