→視覚野に埋め込んだ電極を順に刺激すると失明患者が文字を読めるようになった
→刺激の方法は背文字遊びをヒントにして行われた
→電極の数を増やせばさらに精度があがる

失明の主な原因は、眼球や視神経の異常や損傷であることが知られています。
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そのため研究者は長年、損傷した目を迂回して、視覚情報を脳に直接届ける方法を模索してきました。

一般的な方法としては、脳の視覚野に複数の電極を埋め込み、電流でニューロンを刺激する手法が存在します。

電極がニューロンを電気刺激することで、失明患者は光を感じ、光のパターンを点字のように学習することで文字を読むことができるようになります。

ですが新しく行われた研究では、点字学習を必要としない、より自然な文字の再現が行われました。

鍵となったのは「背文字遊び」または「手文字遊び」の概念です。

文字をなぞるように順に電極刺激を行うことで、失明患者は背文字遊びのように、自然に文字を感じることができるようになったのです。

アン・サリバン先生がヘレンケラーに文字を教えた方法の、脳科学版とも言えるでしょう。

しかし、どうやって電極による刺激と、失明患者の脳裏に浮かぶ光の場所を対応させたのでしょうか?

■電気刺激と脳裏に浮かぶ光の位置関係を構築する

研究ではまず、どの電極の刺激が、脳裏のどの部分に光を生じるかが解き明かされました。
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失明患者の脳の視覚野に埋め込まれた多チャンネルの電極の一つ一つに電流を流し、脳裏のどの位置に光が生じたかを解明していったのです。
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以前の研究でも同じように電極と脳裏に浮かぶ光の位置の関係が利用されてきましたが、患者に読み取らせる段階では電流を一斉に流していました。

そのため光の混合が起こってしまい、結局、患者は文字を読むためには混合した光のパターンと文字を対応付ける学習作業が必要になりました。

ですが今回の研究では、電気を流す電流を最大2点に限定し、文字の一画一画を順に脳裏に浮かばせる手法がとられました。

これは時間をかけて「背文字遊び」や「手文字遊び」をする手法と同じです。

結果、患者はより自然なかたちで文字を認識できるようになりました。

特に成人後に失明した患者にとっては、既に文字の形の知識があるために、より素早い文字の認識が可能です。

最も成功した例では、ある失明患者は1分あたり86個の形状を認識することができるようになったとのこと。

映画の字幕をみるには速度不足かもしれませんが、詩や俳句を楽しむことはできるでしょう。

続きはソースで

https://nazology.net/archives/59900