FRONT LINE 注目集める「低カリウムメロン」 島根大学の浅尾俊樹教授が開発

2020年2月7日

大きさも通常と変わらない
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 通常のメロンに比べ、カリウム含有量を約半分に抑えた「低カリウムメロン」が注目を集めている。食事制限のある透析患者でも、家族と一緒においしく食べられると好評だ。大きさや糖度、食味などは通常のメロンと変わらない。島根大学生物資源科学部の浅尾俊樹教授(61)が開発。全国への普及を目指している。

 腎臓病などによる透析患者は年々増加。カリウムは人間にとって必須の栄養素だが、腎機能が低下すると過剰に摂取したカリウムを体外に排出できない。1日当たりのカリウム摂取量を制限(1200〜1500ミリグラム)する必要がある。6分の1カットに340ミリグラム含まれるメロンは基本的に食べることができなかった。
 浅尾教授が研究を始めたのは約10年前。人工透析を受ける祖父を持つ同僚から食事制限の状況を聞いたことがきっかけだ。
 1株から1個を収穫するアールス系などの高級メロンは、本葉22〜23枚になった開花後に摘心する。その前後で、植物体を大きくする栄養成長期と、果実を大きくする生殖成長期に分かれることに目を付けた。浅尾教授は「カリウムは植物の成長に欠かせないが、メロンの果実肥大期には抑えても十分生育できると考えた」と話す。
 栽培は、肥料成分を個別に管理できる養液栽培を利用。摘心後にカリウムの施用を切ると、1年目から、カリウム含有量が通常の半分の低カリウムメロンを栽培することに成功した。2年目以降、気象条件によりうまくいかないこともあったが、カリウム施用を切るのを開花当日〜3日後の間で調整することで、実現率はほぼ100%になった。


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