2019/11/04
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Point
■ロシアの極東連邦大学により、通常の6〜9倍の耐久力を持つ新種のコンクリートが開発される
■原料となるセメントの材料と変えることで、ゴムのように柔軟な耐久力を実現

自然災害や軍事・民間防衛を考慮した建物は、普通以上にタフさが求められます。

そのアイディアから、ロシア・ウラジオストクにある極東連邦大学が一般のコンクリートの耐久性をはるかにしのぐ「ラバー・コンクリート」を開発しました。

原料となるセメントの成分を変えることで、ゴムのような柔軟さを実現。耐久力は従来の6〜9倍に及ぶといいます。

研究の詳細は、10月4日付けで「Applied Research」に掲載されました。
Composite Binders for Concretes with Improved Impact Endurance
https://link.springer.com/article/10.1134%2FS207511331905006X

ゴムのように柔軟でタフ

今回のニュータイプのコンクリートは、製造工程が大きく異なります。

一般のコンクリートは、原料となるセメントに水や砂、砂利石などを混ぜて作られます。セメントの主原料は石灰岩や粘土となっており、それ単体では使用されません。水と反応させることで、砂や砂利石を密着させるのです。

対して、新たなコンクリートは、セメントの40%をもみ殻の灰や粉砕した珪砂に変えました。

すると出来上がったコンクリートの厚板は、ゴムのような耐久性の高い柔軟さを実現。そのため、強い衝撃を受けても、エネルギーを吸収し、押し返すことで割れにくくなっています。

また、コンクリート自体に自己密閉の性質があるため、別途でセルフシーリングをする必要がありません。

セルフシーリングとは、コンクリート同士の継ぎ目に見られるゴム部分を指し、中空のシール材を目地に注いで、接着性や止水性を高める技法です。

さらに新種のコンクリートは不要品として廃棄される大量のもみ殻などを使うので、セメントを使用するよりずっと安く大量生産できます。

耐久性に優れ、安価に生産もできるという点で、ラバー・コンクリートは建築界の革命児となるかもしれません。

研究主任のRoman Fediuk氏は「コンクリートは、最初のひび割れが起こるまでの時間をどれだけ長くできるかが重要」と言います。というのも、コンクリートは、一度ひび割れができてしまうと、それが徐々に広がり、崩れるのは時間の問題となるからです。

続けて、「今日、全世界がミサイルや飛行機の墜落など、テロ対策を念頭に置いた施設の建造に取り組んでいます。私たちはこの問題に独自の角度から取り組み、衝撃に強いコンクリートの開発に成功しました。次のステップとしては、放射線に強いコンクリートの開発を考えています」と話しました。

地震や台風など、自然災害の多発する日本でも大きな助けとなるかもしれません。