焦点:米大学の危険なパートナー、中国AI監視企業が資金援助
https://jp.reuters.com/article/china-xinjiang-mit-tech-idJPKCN1TF0WM
2019年6月15日 / 09:29
Reuters

 [上海 13日 ロイター] - 米マサチューセッツ工科大学(MIT)と、少なくとももう1校の大学が、中国新疆ウイルグル自治区の警察当局と取引のある中国の人工知能(AI)関連企業と研究パートナーシップを結んでいたことが分かった。
 同自治区では、当局によるウイグル族取り締まりが国際的な非難の的となっている。
 2016年の政府調達発表によると、中国音声認識AI大手の科大訊飛(アイフライテック)の子会社が、同自治区カシュガルの警察が調達した声紋収集システム25機の単独納品元だった。
 同社の別の子会社は、同自治区にある刑務所運営機関と「戦略的協力の枠組み合意」に署名していたことが、同子会社が2017年5月に無料メッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」に投稿した内容から判明した。
 中国当局は、声紋認識技術を使って人々を追跡し特定することができると、人権活動家は指摘する。
 これらの大学が、アイフライテックの技術開発に直接貢献したり、同自治区での使用を念頭に大学の研究が行われたことを示す証拠は得られていない。
 それでも一部の米大学は、米中貿易摩擦や米政府による中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への締め付け、また同自治区での人権侵害報道を受けて、中国テクノロジー企業との協力関係を再点検している。
 例えば、MITは4月、米政府が安全保障上のリスクと位置付けるファーウェイや中興通訊(ZTE)との協力を打ち切った。カリフォルニア州立大バークレー校などの大学も、ファーウェイが出資する全ての研究協力を停止した。
 アイフライテックの担当者は、「一部の協力や内容は、安全保障に関連がある」とした上で、MITでの研究は「AIを使って美しい世界を作るという共通の理解に基づくものだった」と、ウィーチャット経由でロイターにコメントを寄せた。
 また、アイフライテックは「社会的に責任ある企業だ」と述べた。

 MITは昨年、同大の著名なコンピューター科学・人工知能研究所(CSAIL)が行う研究プロジェクト3件に、アイフライテックから資金提供を受ける5年契約に署名した。
 それらのプロジェクトは、ヘルスケア部門でのAI活用、言語認識、そしてCSAILが「よりヒューマンな」と表現したAI開発だ。
 「CSAILは、これらを巡る懸念について認識しており、検討を行った。しかし、これら3プロジェクトの研究成果はすべて科学文献で公表される可能性があることや、即座に応用されるとは想定されていないことを踏まえ、進めるのが適当と判断した」
 CSAILの広報担当者は、ロイターにメールで回答した。
 
 MITのランドール・デイビス教授は、自身のAI分析を使った認知機能低下を診断するヘルスケア関連研究について、アイフライテックが妨害することはなかったと語る。
 「顔の表情で、話している内容や本当に欲しがっているものを理解できるようなシステムを求めている」と、デービス教授。アイフライテック側から研究室への人員派遣はなく、研究成果に対して独占的なアクセスを与えていないと説明する。

 <声紋システム>

 中国科学技術省は2017年11月、1999年創業のアイフライテックを、声紋関連のAI研究における国のトップ企業に位置付けた。
 国有通信会社の中国移動(0941.HK)がアイフライテック株式の12・85%を保有する筆頭株主であることが、4月に公表された2018年の年次報告書から分かる。
 アイフライテック子会社がカシュガル当局に声紋収集システム機材を納品する前述の契約について、ロイターはアイフライテックや新疆ウイグル自治区当局に取材したが、契約が実行に移されたかは確認できなかった。
 また、別の子会社が同自治区の刑務所運営機関と結んだ、人間の言語や法的書類を翻訳するシステムの協力についての戦略的契約は、2017年5月に結ばれている。

■■以下略、続きはソースをご覧ください。(以下、小見出しのみ抜粋)

 <適正な手続き>