今後30年以内に高い確率で発生するおそれがある南海トラフ地震について、気象庁は7日に行った定例会で「四国の西部では2月から、中部では3月からプレート境界を震源とする深部低周波地震が続いている」と明らかにした。いずれもスロースリップが原因だと考えられるという。

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■愛知県ではM5級の低周波地震が14カ月ぶりに

気象庁によると、四国では今年1月下旬から2月9日にかけて、東部を中心に体に感じない程度の低周波地震が発生。これは、プレート境界の深さ30〜40キロ地点で起こる地震で、周波数が非常に低く、極めて微小な動きだ。

 さらに2月以降は、四国西部でも低周波地震が発生し、今も断続的に続いているうえ、3月1日からは中部にも低周波地震の活動域が拡大した。気象庁によると、これらの地震に関して明確な地殻変動は観測されていない。

 一方、先月3日から6日にかけて、愛知県中部で観測されたマグニチュード(M)5.9の深部低周波地震については、詳細な分析の結果、その後、数日間にわたってM5.0を上回る深部低周波地震が継続していたことが明らかになった。


 これらの地震とほぼ同時期に、周辺の観測装置やGPS衛星が、わずかな地殻変動をとらえていたことも確認。断層が動いた長さ(すべり量)は、最大で6ミリと推定されることから、気象庁は短期的なスロースリップが原因だと推測。愛知県でスロースリップが起きたのは、2017年11月〜12月に起きたM6.2以来、14カ月ぶりだという。

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■紀伊半島でも活動域が拡大

 また紀伊半島でも、2月中旬ごろから北部で深部低周波地震を開始。その後、活動域は南部に広がっており、周辺の複数のひずみ計が地殻変動を観測していることから、気象庁は「短期的なスロースリップ現象が起きている」と結論づけた。

 これらのスロースリップ現象は、過去にも観測されてきたことから、気象庁は「南海トラフ地震の震源域で大地震が起こる可能性は、平常時と比べて相対的に高まったとはいえない」と発表している。

ハザードラボ
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