バーナード星は地球から約6光年の距離に位置し、ケンタウルス座アルファ星に次いで2番目に太陽系からの距離が近い恒星であることが知られています。そんなバーナード星には「周囲を公転する惑星が存在するのではないか?」という推測が長年にわたってされていましたが、ついに「バーナード星に固有の惑星が存在するという観測結果が得られた」と報じられています。

A candidate super-Earth planet orbiting near the snow line of Barnard’s star | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0677-y

Astronomers discover super-Earth around Barnard's star
https://phys.org/news/2018-11-astronomers-super-earth-barnard-star.html

ロンドン大学クイーン・メアリーとスペインのカタルーニャ宇宙研究所(IEEC)、スペイン宇宙科学研究所(CSIC)が共同で行った研究によると、バーナード星の周囲には「バーナード星b」と呼ばれる惑星が存在する可能性が高まっています。バーナード星bは地球の3.2倍もの質量を持つ岩石惑星で、バーナード星の周囲を233日で一周しているとのこと。

バーナード星bが公転している軌道はバーナード星から遠く離れており、凍結線と呼ばれるラインを超えていると見られています。そのため表面温度は−170度ほどの極端に冷えた環境であり、地球のように生命が存在しやすい惑星ではない可能性が高いそうです。しかし、もしもバーナード星bが分厚い大気を持っていた場合はグッと気温が高くなり、住環境がよりよいものになっている可能性もあります。

ロンドン大学クイーン・メアリーの物理学と天文学の教授であるGuillem Anglada氏は、「バーナード星は天文学者の間で悪名高い惑星です」と述べています。実は1960年代にも「バーナード星には惑星がある」と提唱されてそれが広く信じられていた時期がありましたが、後に望遠鏡の誤差によるものだったと判明。Anglada氏は今度の発見が覆されないことを望んでいると語っています。


記事作成時点で太陽系から最も近い太陽系外惑星は、太陽系から約4光年離れた場所にある赤色矮星であるプロキシマ・ケンタウリの周囲を公転するプロキシマ・ケンタウリbであると考えられています。バーナード星bの存在が実証されれば、これに次いで太陽系から近い距離に存在する太陽系外惑星ということになります。

研究チームはドップラー分光法という手法を用いてバーナード星bを発見しました。視線速度を有する天体からの光はドップラー効果により、その天体が遠ざかっている時は光の波長が赤色のほうへずれる赤方偏移を起こし、反対に近づいている時は青色のほうへずれる青方偏移を起こします。惑星が恒星の周囲に存在すると重力による揺らぎが発生するため、ドップラー分光法の観測結果から「恒星の周囲に惑星が存在するのではないか」という予測が成り立つとのこと。

過去20年にわたる観測データと最新のデータを検討した結果、研究チームは「バーナード星には公転する固有の惑星が存在する」ということがほぼ特定できたそうです。CSICの研究者であるIgnasi Ribas氏は、「非常に慎重な分析の後、私たちは99%以上の精度でバーナード星にはバーナード星bという惑星が存在すると確信しています。しかし、今後も観測結果を裏付けるためにさらなるデータの収集が必要です」と語りました。

https://i.gzn.jp/img/2018/11/15/astronomers-discover-planet-barnard-star/02_m.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20181115-astronomers-discover-planet-barnard-star/