宇宙航空研究開発機構(JAXA)は21日、小惑星リュウグウを探査中の「はやぶさ2」が、小型探査ロボット「ミネルバ2」の2台の分離に成功したと発表した。久保田孝・JAXA宇宙科学研究所研究総主幹は「分離成功によって、まずは一歩進んだ。はやぶさ2本体とミネルバ2が正常であることも確認できたが、本当に喜ぶためには今後、きちんと着地し、運用できることが必要」と話した。

 はやぶさ2は同日午後1時5分、小型探査ロボット「ミネルバ2」のうち2台を、高度50〜60メートルから分離した。その後、はやぶさ2から分離の信号が計画通りに出たことが確認され、さらにロボットとの通信、搭載している観測機器が機能していることなども分かり、午後1時35分ごろに津田雄一・はやぶさ2プロジェクトマネジャーが「分離に成功した」と宣言した。それを受け、管制室に集まったメンバーから拍手が起きた。

 ミネルバ2の1は、小惑星表面という重力が極めて小さな環境で移動する技術の確立と、地球から約3億2000万キロ離れた場所にいるロボットを地球の指示で操縦するのではなく、ロボットが自律的に判断して活動することを目指している。小天体でロボットが移動して観測することに成功すれば、世界初の快挙となる。

 久保田さんは「重さはわずか1キロちょっとだが、太陽電池で動き、移動のためのモーター、コンピューターを搭載し、カメラも3〜4台載っていて、日本の技術が盛り込まれた一品物。それが3億キロも離れたところで、ロボット自ら考えて活動する、つまり人工知能のような形で活躍するという日本の技術力の高さを知ってほしい」と話している。

 着陸の確認は、小惑星表面の画像が撮影できたり、ロボットが受ける光の変化が止まったりすることなどからできるという。ロボットが小惑星に着陸してから約1時間半で、着陸地点がリュウグウの自転によって「夜」に入り、通信ができなくなるため、確認まで時間がかかる可能性があるという。

 今月11〜12日の着陸リハーサルでは降下を途中で中止したが、レーザー光を小惑星表面に当て、距離を計測する装置(LIDAR)が、計画通りに高度600メートルで遠距離モードから近距離モードに切り替わらなかったことが原因だった。レーザー光の反射が暗すぎて、モード切り替えができなかったとみられる。そこで遠距離モードで高度150メートルまで計測できるように変更、実際は高度約300メートルでモードが切り替わり、計画通り低い高度まで降下することに成功した。

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毎日新聞
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