0001しじみ ★
2018/08/19(日) 13:33:16.17ID:CAP_USER■なぜ水が見当たらないのか
今回の会見の中で、最も意外だったのは「NIRS3(近赤外分光計)」の観測結果だ。リュウグウはC型の小惑星で、水や有機物が豊富にあると考えられていたのだが、これまで全表面の90%以上を観測したにも関わらず、水の存在が検出できなかったという。
水分子(H2O)や水酸基(OH)は、波長3μm付近の赤外線を吸収する性質があり、この性質を利用した観測装置がNIRS3だ。もしリュウグウ表面の鉱物に水分が含まれていれば、太陽光を反射したときに、その赤外線を吸収。反射光のスペクトルを見れば、この部分の強度が弱くなっているはずだ。
しかし結果は予想外だった。NIRS3担当の北里宏平氏(会津大学 コンピュータ理工学部 准教授)によれば、観測した範囲で水分量は「ほぼ0%」だったという。予想よりリュウグウが乾いていたわけだが、理由としては、最初から無かった(母天体で水分を含む鉱物が生成されなかった)説と、途中で無くなった(2次的な加熱による脱水を経験した)説が考えられるとのこと。
もし後者であれば、地下にはまだ水が残っている可能性がある。太陽光の熱で蒸発したのであれば、その影響は深さ数cmレベルとのことで、インパクタで人工クレーターを作り、地下の鉱物を露出させれば、そのときに水が検出されるかもしれない。また、まだ極域が観測できていないため、そこで検出される可能性もある。いずれにしても、まだ初期観測の段階であり、今後の観測結果を待つ必要があるだろう。
ただ、本当に水が無かったとしても、落胆する必要は無いようだ。北里准教授は、「予想は外れたが、結果的に当たりと考えている」とコメント。「水が無くて、これだけ反射率が低いのは、隕石では見当たらない。我々が手にしたことが無いものが、今回のサンプルリターンで入手できると期待している」と述べた。
■3種類の形状モデルを作成
LIDAR(レーザー高度計)は、パルス状のレーザーを発射し、反射して戻ってくるまでの時間を計測することで、探査機の高度(距離)を正確に測る装置。20kmも離れたホームポジションからでも、数m程度という精度の高さで調べることが可能である。
これまで、LIDARは問題無く動作しており、安定した観測を継続。観測点は赤道付近に偏っているものの、ほぼ全球を観測しており、観測データから形状モデルを作成した。このモデルは、画像データから作成したモデルともほぼ一致。LIDAR担当の水野貴秀氏(JAXA宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系 准教授)は、「LIDARとカメラは相補関係。一致しているというのは、正しい観測ができている証拠」と評価する。
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