京都大の研究グループが、
合成樹脂の原材料などに広く使われる酢酸をエタノールと水から合成する新たな方法を開発したと発表した。
植物から作れるエタノールは環境に優しく、
合成過程で生じる水素をエネルギーとして活用できるメリットもあるという。
成果は、ドイツの学術誌「ケムキャットケム」電子版に掲載された。

 工業用酢酸は世界で年650万トンが消費される重要な有機化合物。
現在はメタノールと一酸化炭素から、金属を触媒に温度150〜200度、約15気圧で合成するのが主流だ。
ただ、メタノールは天然ガスなど主に化石燃料を原料とするため、資源枯渇が懸念される。

 京都大大学院人間・環境学研究科の藤田健一教授らは、穀類を発酵させるなどして生産でき、
再生可能資源であるエタノールに着目した。
触媒として、希少金属・イリジウムの化合物「錯体(さくたい)」を新たに開発。
温度約100度、1気圧と低温低圧で、エタノール水溶液から効率的に酢酸と水素を作ることに成功した。

 藤田教授は「用途が広く大量に消費されている酢酸を植物性エタノールから作れ、
さらにエネルギーとして使える水素も得られて『一石二鳥』。
イリジウムは高価なので安価な触媒を模索したい」と話している。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180621/k00/00m/040/031000c