磁石の性質がある曲がった金属に、電気を流すだけで温度が上がったり下がったりする現象を世界で初めて観測したと、
日本の物質・材料研究機構などのグループが発表し、
コンピューターの新しい冷却技術などにつながる可能性があると注目されています。

茨城県つくば市にある物質・材料研究機構のグループは、わずかな温度変化も測れる最先端の装置を使って、
磁石の性質がある、カタカナのコの字型に曲げられた「ニッケル」という金属に、電気を流して温度の変化を測定しました。

その結果、金属の曲がっている部分で、温度がわずかに上がったり、下がったりして、
電流が増えるほどその度合いが増す現象を世界で初めて観測しました。

グループによりますと、この現象は50年以上前に存在が予測されていましたが、
これまで観測された例はなく、
電気を熱に変える研究の進展やコンピューターの新しい冷却技術などにつながる可能性があると注目されています。

物質・材料研究機構の内田健一グループリーダーは「ニッケルという身近な材料にも、
まだ、新しい物理現象が眠っているんだと驚きました。
電気を流すだけで、振動も騒音もなく小さいところに組み込めるので、
新しい熱制御の原理につながると思う」と話していました。

NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180522/k10011447391000.html