生物学者としても知られる昭和天皇が1930−50年代に採集し、
国立科学博物館(科博)が所蔵していた海生生物テヅルモヅルの標本が、実は新種だったことが東京大などの研究で分かった。

論文は9日、ニュージーランドの動物分類学専門誌ズータクサに掲載された。
 テヅルモヅルはヒトデやウニと同じ「棘皮(きょくひ)動物」の仲間。
新種と分かったのはツルボソテヅルモヅル属の一種で、直径約5.3センチ。
水深40−1300メートルの海底に住み、植物のつるのように細い触手を広げてプランクトンなどを食べる。

東大臨海実験所(神奈川県三浦市)の岡西政典特任助教らが2009年から昨年にかけ、三重県沖などで採集した。
 これまでに知られているツルボソテヅルモヅルと比べ、体表に微小なトゲがあるなどの特徴的な違いがあることから、
岡西特任助教は科博など国内外の博物館が所蔵する計14個体の標本と詳細に比較。

その結果、昭和天皇が相模湾で採集した7個体を含む11個体が新種と分かり、
学名を「トゲ」の意味を含む「アストロデンドラム・スピニュローサム」、
標準和名を「トゲツルボソテヅルモヅル」と名付けた。(2018/03/09-08:21)

画像:昭和天皇が採集した標本も含め、新種と判明した海生生物「トゲツルボソテヅルモヅル」(東京大提供)
https://www.jiji.com/news/kiji_photos/0180309at02_t.jpg

時事ドットコム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018030900314&;g=ryl