色鮮やかで美しい虹色の模様を体に持つクモが、どのように虹を生み出しているのか?ということが調査された結果、
非常にユニークで微細な構造を持っていることが判明。
この研究により、現存する光学・色彩技術の限界を押し上げることができる可能性が出てきました。

Rainbow peacock spiders inspire miniature super-iridescent optics | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-017-02451-x

Nature's smallest rainbows, created by peacock spiders, may inspire new optical technology
https://phys.org/news/2018-01-nature-smallest-rainbows-peacock-spiders.html

'Nature's Smallest Rainbow' Found on Australian Spider's Butt
https://www.livescience.com/61318-peacock-spider-smallest-rainbow.html

オーストラリアに生息するピーコックスパイダー(Maratus robinsoni)は体長5mm以下でありながら体にカラフルで美しい模様を持ち、
ダンスのような視覚的で複雑な求愛行動をすることで知られています。
自然界で「オスがメスを魅了するための求愛行動でレインボーカラーを使うこと」は非常に珍しい例とのこと。


では、ピーコックスパイダーはどのようにして虹を生み出しているのか?ということを研究したのが
カリフォルニア大学サンディエゴ校のスクリップス海洋研究所のポストドクターであるBor-Kai Hsiungさん。
Hsiungさんはアクロン大学で博士課程学生である時に生物学者・物理学者・エンジニアらからなるチームを構成し、研究に取り組みました。

研究チームは光学顕微鏡検査やハイパースペクトルイメージング、光学モデルなどさまざまな技術を用いて、
どのようにクモの鱗片が虹を生み出しているのかの仮説を立てました。
その後、最新のナノ3Dプリンターをモデルを作成し、仮説を検証。

調査が進められたところ、ピーコックスパイダーの虹はクモの腹部にある2種類の鱗片から生み出されることが判明。
ピーコックスパイダーの鱗片には虹色のものとベルベットのような黒いものの2種類があり、
黒い鱗片はランダムな方向を向いているのに対して虹色の鱗片は規則正しく並び、塊のようになって表皮にくっついています。
そして1つ1つの虹色の鱗片にはナノ回折格子が三次元的かつ並行に並び、
異なる光の波長を異なるアングルで分離するとのこと。
「Maratus robinsoniのユニークな格子の形状は可視光線をわずかな角度で分散させます。
このような小さな距離でも可視光線全体が分散され、微視的な虹のパターンがはっきりと現れるのです」と研究者は記しました。


研究に携わったアクロン大学によると、今回の発見は現存する光学・色彩技術の限界を押し上げるものであり、
特に、宇宙ミッションで用いられる細かなツールや化学検出を行うウェアラブルシステムなどで活用される可能性が考えられるとのこと。

なお、ピーコックスパイダーの求愛の様子は以下から見ることが可能。
鮮やかで美しいダンスを行うピーコックスパイダーですが、
求愛に失敗したオスはメスに食べられてしまうこともあるため、まさに命がけの求愛行動となっています

関連ソース画像
https://i.gzn.jp/img/2018/01/04/smallest-rainbows-spider/00.jpg
https://i.gzn.jp/img/2018/01/04/smallest-rainbows-spider/001_m.jpg
https://i.gzn.jp/img/2018/01/04/smallest-rainbows-spider/002_m.jpg

関連動画:ピーコックスパイダー https://youtu.be/bb_Jw2Z8Ifs

GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20180104-smallest-rainbows-spider/