およそ600万年前、現在の中国南西部にある沼地を、体重が50キロもある巨大なカワウソがうろついていた。

カワウソの仲間のラッコは石を使ってウニを叩き割るが、この古代生物は、貝殻を直接噛み砕けるほどの強力な顎の持ち主だったかもしれない。

猛獣並みの大きさと強さを誇るこの動物はサイモゲール・メリルトラ(Siamogale melilutra)。先史時代に生きていたカワウソの祖先だ。中国の雲南省で発掘され、2017年初めに新種として発表された。

その後、この動物の下顎の骨が詳しく調べられた。噛み砕くのに適した強力な顎と歯を持っており、貝を含めた幅広い種類の獲物を捕食できたと考えられるという。おかげで、豊かな水辺が広がっていた後期中新世のこの地域において、サイモゲールはおそらく支配的な捕食者だったという論文が11月9日付けの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

研究を主導した米ニューヨーク州立大学バッファロー校のジャック・ツェン氏は、「貝類も食べていたとは思いますが、捕食能力のレベルは、現生のカワウソをはるかに超えていたはずです」と話している。

この発見は、太古のカワウソの生活を知る手掛かりになるだけではない。ラッコなど一部の種が見せる道具の使用も含め、現生のカワウソの行動についてもヒントを与えてくれる。

(以下省略、つづきはウェブで)

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