遺伝子の異常で体じゅうに水ぶくれができる病気によって、体の皮膚のおよそ80%を失った子どもに、
正常な遺伝子を入れた細胞を培養して作った皮膚を移植する治療に成功したとドイツなどの研究グループが発表し、
遺伝子の異常で起きるほかの病気の治療にもつながるとして注目されています。
この治療は、ドイツやイタリアなどの大学のグループが行い、イギリスの科学雑誌、ネイチャーに発表しました。

治療を受けたのは「表皮水ほう症」という10万人から20万人に1人の割合で起きるとされる難病にかかった当時7歳の男の子です。

この病気は遺伝子の異常で体じゅうに水ぶくれができて、皮膚のがんにも至る難病で、
研究グループは、男の子から水ぶくれになっていない部分の皮膚の細胞を採取し、正常な遺伝子を入れて培養しました。

男の子は、背中や足など体のおよそ8割の皮膚の表面部分を水ぶくれでなくしており、
細胞から培養した皮膚をおととしから3回に分けて移植したところ皮膚は定着しておよそ2年たった今も拒絶反応も水ぶくれも出ず、
元気になってサッカーをするまでになったということです。

研究グループは、移植した皮膚の中に、正常な遺伝子を含んだ、皮膚の細胞を生み出す幹細胞が含まれ、
再生し続けているとしており、ほかの患者にも同様の方法での移植を計画しているということです。

今回の成果は、遺伝子の異常で起きるほかの病気の治療にもつながるとして注目されています。


NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171109/k10011216731000.html