理化学研究所(理研)は、哺乳類の大脳皮質が、単純な機能単位回路となる六方格子状の構造(マイクロカラム)を持つことを発見した。


 ヒトの大脳は、100億個以上の神経細胞から構成され、いくつかの皮質領域に分かれており、
感覚処理、運動制御、言語、思考などをそれぞれに司っている。その構造については、100年以上も前から研究が行われているが、いまだに謎が多い。

 脳を巡る無数の謎の中の一つの問題として、「単一の回路が繰り返される構造を持っているかどうか」というものがあった。
1960年代、ネコやサルなど一部の動物の視覚野において皮質カラムが発見されたのだが、
これはラットやマウスでは発見できず、普遍的なものではない、と結論付けられた。

 大脳の神経細胞は6つの層に分かれている。今回の研究のターゲットとなったのは、第5層であり、マウスの脳が利用された。

 古典的な研究では脳を薄くスライスして分析するのだが、今回の研究では、脳を丸ごと3次元解析する、
理研が独自に開発した新たな技術が導入された。それによる解析の結果として、大脳皮質の第5層に、
ハニカム状の六方格子配列があるということが分かった。

 さらにそのマイクロカラムの機能を分析したところ、各野のマイクロカラムは、それぞれに同期して活動している、ということが判明した。

 以上の結果から、大脳の第5層は、マイクロカラムが繰り返した回路が組織化されたものであり、
また、各皮質領域に共通してそのような構造が存在している、と考えることができる。

 今後の研究展望としては、第5層以外の皮質層における類似の構造の探索、
そして、皮質カラムとマイクロカラムの統一的な理論の構築などを目指していきたいという。

 なお、研究の詳細は、科学雑誌『Science』のオンライン版に掲載されている。

財経新聞
http://www.zaikei.co.jp/article/20171104/409770.html